ポイントを抑えておけば間違い無し!有意義な会議にする為のファシリテーションノウハウ

人材・教育

会社での会議は「無駄」が多く、やり方に満足していない方も多いのではないでしょうか。
せっかく行う会議なら、有意義な会議にしたいとは思いませんか。
有意義な会議を目指すなら、ファシリテーションが注目されています。
ファシリテーションとは「促進」という意味を持ち、ファシリテーターとは「支援者」の事を指しています。
このファシリテーションとファシリテーターの意味を理解し、簡単な手法とポイントを抑えることができれば、有意義な会議を開催することができるはずです。
そこでここでは、ファシリテーションで抑えるべきポイントや手法などについて詳しく解説していきます。

目次
1.ファシリテーションとは
1-1.ファシリテーションの意味は『促進』
1-2.ファシリテーターに向いている
2.ファシリテーションの抑えるべきポイント
2-1.メンバーへの気配り
2-2.常に目的・論点を意識する
2-3.構造化をして全員の理解を深める
3.成功の為の準備
3-1.オリエンテーションで意図や内容の確認
4.隠れファシリテーションで練習
5.まとめ

1.ファシリテーションとは

ファシリテーションと聞いてもイマイチわからない方もいるでしょう。
そこでまずは、ファシリテーションについて紹介していきたいと思います。
ファシリテーションやファシリテーターについて理解し、会議に役立ててみてください。

1-1.ファシリテーションの意味は『促進』

・ファシリテーションの意味
まず改めてですが、ファシリテーション(Facilitation)とは「促進」という意味です。
会議においては、プロセスを支援し促進させ、会議の効率性を改善する取り組みのことです。
ファシリテーションは、参加者のモチベーション向上やアイディアの促進、中立な視点からの論点整理などを行ないます。
会議には複数の人が参加し、それぞれの価値観や考え方を持っており、それが多様性へと繋がります。
そこで、ファシリテーションにより中立の立場から会議を促進させ、様々な意見を引き出すことで、効率的な会議にすることができるのです。
また、ファシリテーションを活用することができるのは、会議だけに留まりません。
ファシリテーションのノウハウは、プロジェクトやイベント時でも活用することができるのです。
そのため、身に付けておけば応用の利くノウハウのひとつとなっています。

・ファシリテーターの役割
ファシリテーションを行う者のことをファシリテーターと呼びます。
ファシリテーターとは、支援者のことを指しており、リーダーや司会者ではありません。
あくまでも中立の立場であり、会議の対話を促進させるのがファシリテーターの役割です。
ファシリテーターを立てる場合、会議の進行役はファシリテーターが行い、他のメンバーは会議の参加者として意見を出していくことになります。
司会者とファシリテーターの違いは、「内面的なプロセス」の有無にあります。
司会者に求められるのは、その場を取り仕切り、予定通りに会議を進行させることです。
言わば、司会者が担っているのは「外面的なプロセス」のみと言えます。
しかし、ファシリテーターの役割には、内面的なプロセスも含まれているのです。
ここで言う内面的なプロセスとは、会議に出席している人の考え方や感情、メンバー同士の関係など心理的な側面も含まれています。
そのため、ファシリテーターはメンバーの考え方や感情を汲み取りながら、意見しやすい場を提供する役割があるのです。

また、ファシリテーターの役割には、意見を引き出したり、意見を整理したりすることも挙げられます。
一定の人しか意見を出せない会議では、多様性が失われてしまいます。
意義のある会議にするためには、多くの人の意見を引き出すことが大切であり、ファシリテーターは上手に意見を引き出すことが求められるのです。
そのために、会議のセッティングを工夫したり、会議中は答えやすい質問を投げかけたりし、意見を出しやすい場を提供するのです。
これもまた、内面的なプロセスと言えるでしょう。
さらに、効率的な会議にするために、意見を整理し分かりやすくする役割も担っています。

1-2.ファシリテーターに向いている人

・聞き上手な人


ファシリテーターは、この後に紹介するポイントやノウハウを身に付ければ誰でもできますが、やはり向き・不向きがあるのは事実です。
ファシリテーターに向いているのは、聞き役ができ、全体を広い視野で客観的に見ることができる人です。
会議において、ファシリテーターが聞き役になることで、話しやすい環境をつくり意見を引き出すことが重要となっています。
例えば、学生時代に学級委員を経験していた人は、聞き役に慣れており、ファシリテーターに向いていると言えます。
また、ファシリテーターは中立の立場であるため、全体を俯瞰的な視点で見ることが重要です。
議題から逸れていれば軌道修正をし、効率的な会議にすることが求められます。

2.ファシリテーションの抑えるべきポイント

ファシリテーションでは、抑えるべきポイントがいくつかありまます。
そこで、ファシリテーションの抑えるべきポイントを紹介していくので、参考にしてみてください。

2-1.メンバーへの気配り

・意見の尊重
ファシリテーションでは、多種多様な意見を歓迎しており、それぞれの意見を尊重するのがポイントになります。
どの意見についても否定的な発言をするのは厳禁です。
「それさっき言ったよね」などの否定的な発言をすることによって、発言しにくい環境となってしまいます。
多くの意見を引き出すためにも、発言しやすい環境づくりがポイントであり、どんな意見でも尊重するべきです。
どんな意見でも尊重することがメンバーへの気配りになり、そして意見を出しやすい環境の整備にもつながるのです。

・多くの人から意見を引き出す
会議に参加しているメンバーに気配りをすることで、多くの意見を引き出すことができます。
どんな会議でも、なかなか発言することができない人がいると思います。
しかし、あまり発言できない人でも、実は貴重な意見を持っていることがあるのです。
そこでファシリテーターが気を配り、声をかけることで発言しやすくして、意見を引き出すことができるのです。
様々な意見を出すためには、出席しているメンバーに気配りすることが、多くの意見を引き出すポイントになっています。

・会場のセッティングから気配り


メンバーへの気配りは、会議中だけではありません。
会議の会場をセッティングするときから、気配りは始まっています。
どこで会議を行うのか、会議の机は円卓なのか四角い机なのか、そして誰がどこに座るのかなどによって意見の出方が変わってきます。
誰もが会議に参加しやすく、発言しやすいようなセッティングをすることが、ファシリテーションのポイントなのです。
そのため、参加メンバーや規模から考えて、どんなセッティングをするべきなのか気配りするようにしましょう。

2-2.常に目的・論点を意識する

・目的・論点を意識
ファシリテーションのポイントとしては、目的・論点を常に意識することが挙げられます。
様々な意見を出しやすい環境にするため、目的・論点とはあまり関係ない話が出てくることがあります。
あまり関係ない話で脱線したままでは、会議の目的を成し遂げることができません。
そのため、ファシリテーターは常に目的・論点を意識し、脱線したときには修正する必要があるのです。脱線から修正するときも意見を出しやすい環境を維持できるよう気を配りましょう。

・脱線した場合の対処法
脱線した場合の対処法としては、「今何の話をしているのか?」「会議の目的は何だったかな?」などとさり気なく発言して修正する方法があります。
これらの発言をすることで、会議に出席しているメンバーは、冷静になることができ、会議の目的が何なのかを再認識することができます。
その結果、脱線から修正することができ、効率的な会議にすることができるのです。
脱線した場合の対処法としては、さり気なく冷静になることができる言葉、会議の目的を思い出させる言葉を発言するのがおすすめです。

2-3.構造化をして全員の理解を深める

・全員の理解を深める
多くの意見が出れば、どんな話が挙がったのか整理するのが難しくなります。
その結果、重要な意見がこぼれ落ちてしまうことがあり、それでは効率的な会議とは言えません。
そのため、ホワイトボードなどを利用して、意見を板書していくことがポイントです。
意見を板書することで、可視化することができ、全員が話を理解しやすくなります。
板書のまとめ方の手法には、「ツリー型」「サークル型」「フロー型」「マトリクス型」の4つがあります。
それぞれ手法には特徴があるので、ベストの手法を選び、板書してメンバー全員の理解を深めるべきです。

〈まとめ方の手法〉
①ツリー型

(引用:http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/microsoft0601/

一般的に使われやすいまとめ方の手法のひとつがツリー型です。
大分類(幹)の意見を出してから、小分類(枝)につなげて整理してきます。
わかりやすいまとめ方なので、メンバー全員が理解しやすいです。
また、まとめる側としても比較的に簡単であり、まとめやすい手法と言えます。

②サークル型

(引用:http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/microsoft0601/

意見の分類が難しいときに有効なまとめ方の手法がサークル型です。
違う意見でも、関連するものをまとめて線で囲んでいくまとめ方となります。
サークル型でまとめることによって、意見の重なりから、新たな意見を生み出すことができるメリットがあります。
新しい発想へとつながるまとめ方と言えるのです。

③フロー型

(引用:http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/microsoft0601/

フロー型は、流れやつながりを整理することができるまとめ方の手法です。
順序や因果関係をまとめるときに利用することで、わかりやすくまとめることができます。
時系列にまとめていき、どの部分に問題があるのかなどを書き足していくことで、目に見える形で問題点を浮き彫りにすることができるのです。

④マトリクス型

(引用:http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/microsoft0601/

マトリクス型は、論点を整理するのに有効なまとめ方の手法です。
縦軸と横軸で区切り、意見を当てはめていくやり方になります。
比較的に整理しやすいため、会議に参加しているメンバーも理解しやすいです。
マトリクス型でまとめていくと、論点から脱線しにくいのも特徴となっています。

3.成功の為の準備

ファシリテーションでは、準備もポイントになります。
準備をすることで、有意義な会議につなげることができるのです。
そこで成功の為にやっておきたい準備を紹介していきたいと思います。

3-1.オリエンテーションで意図や内容の確認

・事前に意図や内容を確認
事前に会議の意図や内容を伝えておくことによって、参加メンバーにゴールを意識させることができます。ゴールを意識すると、発言が適切なものに近づくことになり、脱線を防ぐことにつながります。

・伝えておくべき内容
伝えておくべき主な内容としては、「目的」「求められる成果」「参加者の役割」「グラウンドルール」「当日のプログラム」などが挙げられます。
目的・求められる成果を伝えておくことで、ゴールを意識させることに役立ち、また、参加者の役割を伝えておけば会議に参加しやすくなります。
グラウンドルールとは、会議の運営上必要なルールのことで効率的な会議にすることに役立ちます。
発言の姿勢(例:個人攻撃しない・意見を尊重するなど)や時間の使い方、服装などがグランドルールに挙げられます。
当日のプログラムは、参加者に時間を意識させるために重要です。

・押し付けは厳禁
会議で注意すべきポイントのひとつが、押し付けをしないことです。
参加者に会議の進め方などを押し付ければ、参加を拒むことがあります。多くの意見を出すためには、多くの参加者が必要です。
そして、参加者には前向きに会議に参加してもらうことが大切となります。
そのためにも、押し付けることはせずに、参加者とは目的やルールなどについて合議して進めていくのがおすすめです。

4.隠れファシリテーションで練習

ファシリテーションについて理解し、ポイントを抑えることができたと思います。
とは言え、ファシリテーションが必要となる機会は少ないのが現実です。
上司に「ファシリテーターをやらせてほしい」と言える勇気がある人は少ないです。
そして、上司が自分をファシリテーターとして参加させてくれるとは限りません。
だが、ファシリテーターに任命されていなくても、ファシリテーションを実践することは可能です。
「隠れファシリテーション」として、ファシリテーターと同じ役割を実践してみることで、体験・練習をすることができるのです。

・隠れファシリテーションを実践
隠れファシリテーションとは、ファシリテーターに任命されていないが、こっそりと同じ役割を実践することです。
一見すると難しく見えますが、ポイントを抑えることができれば隠れファシリテーションは簡単にできます。
意見が脱線しているときには「その意見は脱線していませんか?」と発言することで修正をすることができ、「○○さんはどう思いますか?」と話を振ることで意見を引き出すことができます。
また、ホワイトボードでまとめる役を買って出ることにより、わかりやすくまとめて会議を効率的なものにすることができます。
このように、ファシリテーターでなくとも、隠れファシリテーションを実践することができます。
今の会議を効率的にするためにも、隠れファシリテーションを実践して技術を磨いてみてください。

5.まとめ

ファシリテーションについて理解することはできましたか?
会議を有意義なものにするためには、ファシリテーションがおすすめです。
ファシリテーターが上手に役割を果たすことで、多様な意見を引き出すことができ、効率的な会議にすることができます。
ポイントは、参加メンバーへの気配りやゴールへ意識させることです。
そうすることで、発言しやすい環境や脱線させないことができるのです。
また、事前の準備もファシリテーションには重要となっています。
とは言え、ファシリテーターになる機会は少ないと思います。
それでも、隠れファシリテーションを実践することができ、有意義な会議に導くことは可能です。
ぜひ、隠れファシリテーションを実践して、ファシリテーションのスキルを上げてみてください。