【タイプ別】企業内保育所のメリット・デメリット、特徴、運用方法を徹底解説

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企業内保育所とは言葉の通り、事業施設内、病院内に保育施設があることを指します。
女性社員の定着、ワークライフバランスを保つ施策の一つとして注目されており、政府の定める基準を満たして設置をすれば助成金もでます。

実際にあなたの職場では、結婚や出産による女性社員の離職率は高くないですか?
社員が定着しないと毎回採用や業務にも大きなダメージがあるかと思います。
働き方は時代とともに変化していますので従来の制度や方法では社員の定着は図れないでしょう。
企業にとって将来的にも考えていく必要があります。
今回は社員が働き方を選べる施策の一つとして企業内保育所を紹介します。

企業内保育所の導入には定義によって種類が分かれます。
助成金をもらう基準やその他の設置方法など、それぞれの違いについて詳しく紹介していきます。
保育所の設置は会社にとって大きな選択になるかと思いますが、将来的に取り入れようと考えている方も参考にしていただければと思います。

1.女性の社会進出・ワークライフバランス推進による企業内保育所の必要性
2.企業内保育所の導入について
2-1.認可保育所と認可外保育所の違いとは
2-2.【タイプ別】3つの運用体系から見る保育所の特徴
3.工夫満載!企業事例から学ぶ保育所の運用方法まとめ
4.プロのノウハウに任せる!コンサルティング会社紹介
5.まとめ

1.女性の社会進出・ワークライフバランス推進による企業内保育所の必要性

この章では、企業内保育所の導入の背景について紹介します。企業の将来を考えるうえでの一つの施策となりますので、現状をしっかり把握しておくことが大切です。

企業内保育所が注目されている背景としてあげられるのは、女性の社会進出・ワークライフバランスの推進です。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、女性の約4割は、結婚・妊娠を機に離職するという数字が出ています。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-27.html
そして8割の女性は、仕事をしていたいと回答しています。大きな理由としては、収入の確保・貯蓄のためなどの経済的理由が挙げられています。

しかし、経済的な理由が挙げられているにもかかわらず、出産後の女性の就業先はパート・アルバイト・派遣などといった正社員ではない非正規雇用が全体の87.5%を占めています。
つまり、出産・子育てと仕事の両立ができない企業が多く存在し、働き方が選択できないのが現状です。

働き方が選択できない理由としては、待機児童問題があげられます。待機児童は年々増加を続け、子供を保育園に預けられたないために職場復帰できない女性も増えています。
育児休暇の年数を延ばすしかなく、仕事復帰が出来ないストレスから、正社員の復帰をあきらめてしまう母親が増えているのです。

こういった問題の解決策の一つとして、企業内保育所を設置することがあげられます。
待機児童問題を解決し、育児休暇後の社会復帰を推進することが出来ます。
次章では、企業に導入できる事業の特徴を詳しく説明していきます。

2.企業内保育所の導入について

保育事業は、国の認可があるかないかなどいくつか分野が分かれています。
今回は企業内保育所に絞った特徴をピックアップして説明していきます。
企業に設置する際は、どの方法を利用すればいいのかわかるように詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

2-1.認可保育所と認可外保育所の違いとは

企業内保育所は、大きく分けると、下図のように認可保育所と認可外保育所の2分野に分かれます。

■認可保育所
認可保育所は、国の定めた設置基準を合格し、都道府県知事に認められた施設になります。
保育園と呼ばれるものは全て認可保育所に当てはまります。
また、企業で認可保育所を作る取り組みを、「事業所内保育事業」としています。

■認可外保育
認可外保育所は、認可保育所の規定が満たされていない施設を指します。
その中でも国からの助成金がもらえる事業もあります。
企業で認可外保育所を作る取り組みは、補助金がでるものと出ないもので以下のように変化します。
助成金をもらうには認可保育所とは別に企業主導型保育事業ならではの規定があります。
この条件を満たすことで、助成金がもらえます。

<助成金あり>
・企業主導型保育事業

<助成金なし>
・託児所

国から助成金が降りるのは、「企業主導型保育事業」と呼ばれる事業になります。
認可外ですが、企業が自由に運営することができるため導入しやすいです。

内閣府が出している規則や設置条件は以下になります。
わかりやすいように、認可保育所との比較もありますので参考にしてください。


http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/ryouritsu/pdf/gaiyou-2.pdf
企業主導型保育事業の設置条件が満たせない認可外保育所をここでは「託児所」と称します。
助成金はもらえませんが、社内に設置することは可能ですので次で詳しく紹介していきます。

2-2.【タイプ別】3つの運用体系から見る保育所の特徴

2-1にて企業内保育所の大きな概要を説明しましたので次はそれぞれの特徴を掘り下げて紹介していきます。


①託児所

企業の執務スペースなどを利用して託児所を作ることが可能です。
ここでは助成金が受け取れない認可外の託児スペースの導入方法について解説していきます。【特徴】
・助成金なし
・運営方法は、会社に一存
・都道府県の知事に届け出をする
・従業員の乳幼児のみ対象託児スペースは、簡単に言ってしまえば運用方法などを自社で自由に決めることができます。
ですので、保育士の数などの制約もありません。
導入はしやすいですが企業として設置するのであれば、保育士の数の確保や十分なスペースの確保は必要最低限行いましょう。
社員に子供を安心して預けられる信頼を得るためにも、安全性を伝えていかなければなりません。
導入のヒントとして3章の企業事例を参考に運営方法などを真似してみましょう。


②企業主導型保育事業
企業主導型保育事業は、認可外保育所に分類されます。
託児所とは違いは、国から助成金がもらえるので基準を満たすべき条件が存在することです。
また、導入が緩く設定できる分、助成金は5年で切れてしまうので注意してください。

【特徴】
・運営時間などが自由に制定できる
・運営方法が選べる
・共同利用が可能
・国から助成金がもらえる

【運営時間】
事業所内保育事業では一日の最大利用時間が11時間と制定されていますが、企業主導型保育事業では運営時間を自由に決めることができます。
例えば土日などの休日運営や、2~3時間のみの短時間の保育など会社の働き方に合わせた運営時間を設定できます。

【運営方法】
企業主導型保育事業には運営方法によって3種類に分けられますので、順を追って紹介します。

・単独設置型
自社で施設を設置し、社員に利用してもらうものになります。
女性社員数が多かったり、今後も定期的に乳幼児が入ってきたりする見込みがある会社はおすすめです。

・共同設置・共同利用型
今後定期的に乳幼児が入ってくるのが不安な会社は、以下の共同運営をすることも手法の一つです。
・複数の他会社と連携をして一つの保育所を開設
・複数の保育所を共同で利用する
企業によっては、共同で利用する会社を募集している企業や保育園もあります。

・保育事業者設置型
近くに保育事業者設置型の施設がある企業はこちらと連携していくことをおすすめします。
特に準備などいらず、保育事業との利用契約が結ぶことができれば利用することができますので一番取り入れやすいです。
しかし、デメリットとして会社の近場に施設を見つけることが困難ですと契約も結べませんのでまずは近場にあるか探してみましょう。


③事業所内保育事業

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2013100102.html
事業所内に、国や自治体による厳しい条件をクリアし認可を得た保育所がある企業は、事業所内保育事業を行っていることになります。
市の保育園などと同等の認可を受けているので社員にとっては、安心して子供が預けられる場所として認識されます。

企業としての導入は、園庭やスペースの確保などが大変ですので、移転や新たに設置する必要になった際に検討してみることをおすすめします。

≪企業事例≫
株式会社ブリヂストン
事業所内保育事業:ブリヂストン小平保育園(愛称:ころころ保育園)

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2013100102.html
開園時間:7:30~18:30(延長保育あり21:00まで)
運営方法:運営委託(株式会社日本福祉総合研究所)

ころころ保育園は、2008年5月から運営が開始されており、都内にある事業所内保育所では最大規模の施設になっています。
正社員の生後9週目から小学校入学前の子供という対象範囲が広めに設定されていますので、多くの社員から利用されています。

3.工夫満載!企業事例から学ぶ保育所の運用方法まとめ

この章では、導入のおすすめとして企業主導型保育事業の取り組みについて企業事例をもとに紹介していきます。
助成金はいらないが、社内に託児スペースを開設したいと考えている企業にとってもヒントになる方法がありますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

導入企業の取り組みから、社員に快適に利用してもらうための工夫点や運営方法を見ていきます。
企業主導型保育事業を導入しており、取り組みに力を入れている株式会社ワークスアプリケーションズから運営方法のヒントとして参考にしてください。

「With Kids」/ 株式会社ワークスアプリケーションズ

https://career.worksap.co.jp/index.php/268/work-style-2-2-2

ワークスアプリケーションズでは、2016年に保育施設「with kids」を運営開始しました。
企業主導型保育事業として単独設置型の直営で行っている企業になります。

【運営時間】
8:00~20:00

【特徴】
・勤務時間中に子供に会える・授乳が可能
・着替え、シーツの持参不要
・月極と一時保育が選択できる
・親子そろって食事がとれる

【設立までの経緯】
2004年から出産・育児支援制度としてワークスミルククラブという制度を通じて女性が働きやすい環境を作ることに力を入れてきていたそうです。
その一環として今回託児所の設立が提案されたそうです。

【制度概要】
「ワークスミルククラブ」
・育児休業を3歳まで延長
・妊娠が判明した時点で申請すれば休暇が取得できる
・時短勤務が子供の小学校卒業まで継続できる
など女性の働きやすい環境が考えられた制度です。

【企業内保育所によるデメリットの解消方法をご紹介!】
企業内に保育所を設置することで生じるデメリットをどのように工夫したのかを紹介します。

▼施設開設にあたって

https://fledge.jp/article/worksap-2

保育所はたいてい1階か2階でないといけないという認識があるかと思います。
しかしWithKidsは、20階のフロアにあります。
ですので防災の基準などの条件は、ビルのオーナーなども巻き込んで防災計画や耐震の対応策を考えていったそうです。

▼通勤ラッシュの課題

http://www.mamahapi.jp/usefull/wap170331/

生後わずかの赤ちゃんや小さなお子さんを通勤時間帯の電車に乗せるのは子供にとってもストレスになりますよね。

そこで、ワークスアプリケーションズではフレキシブルな通勤を推奨するようにしたそうです。
フレックスタイム制を採用し、通勤時間を個人で調整できるようにして混雑を避けられるようにしています。

しかしフレックスタイム制を採用すると次はこんな課題が出てきます。
・延滞料金の発生
・帰宅時間が遅くなる

社員の出社時間を自身の都合によって変えることで、通勤ラッシュの時間帯を避けて出勤することは可能です。
しかし、市の保育園などの認可保育所と同じ規則では、既定の期間に間に合わなければ、延長料金がかかってしまい負担が増えてしまいます。

ここを、延滞料金を無料にすることで負担の問題を解決しています。

次に、帰宅後の遅い時間にご飯を食べることは子供だけでなく、ご飯を作る親にとっても負担を与えてしまいます。
この課題を、施設の調理スタッフに子供と社員に同じ料理を作るサービスを提供することで解決しています。
料理の時間や買い物の時間を減らすことで子供と接する時間を増やすことを目的にしています。

▼保育士の確保
企業内に保育所を設置する上で設備の次に課題となるのが保育士の確保です。保育士の数は、希少とされ、なかなか雇用が難しいかもしれません。

ワークスアプリケーションズでは以下の取り組みで保育士の確保を成功させています。

1.社員として採用する
社員として採用することで会社としてだけでなく、保育士にとっても以下のようなメリットがあります。
・企業の営業日に合わせて働くことができる
・保育士以外の技術を手に入れることができる
通常、市の運営する保育所などで働けば保育以外の技術を身に付けるのは難しいとされています。しかし、社員として採用することで、保育以外の事務作業や電話対応等の会社員としての働き方を学ぶことができます。
よって保育士にも企業内保育所の就職は人気になっています。

2.保育の形を自ら提案していきやすい
一般企業の企業内保育所であれば、保育事業は手を伸ばしたことのない分野の企業が多いと思います。
そこで社員として採用すれば保育の裁量を一任できます。
また、保育士にとっても保育のスペシャリストとして企画案や運用方法を学ぶことができます。

▼企業ならではの取り組み
普通の保育所では経験できない企業ならではの体験をさせるプログラムとして社員が先生となる「一日先生」企画があります。
多国籍な社員がいることを活かして、英語やプログラミングなどのバラエティ豊かな授業を行うことで子供の成長を刺激する企画内容です。

4.プロのノウハウに任せる!コンサルティング会社紹介

ワークスアプリケーションズは、運営は直営ですので企業主導型保育事業の中では珍しいケースになります。
企業主導型保育事業には、設備の提案から運営の委託まで行ってもらえるコンサルティング会社がいくつかあります。

保育事業というのはなかなか多くの企業が行っていることではありませんのでノウハウがないことが多いですよね。認可外でも利用することができますのでスムーズな導入が期待できます。

◆HITOWAキッズライフ株式会社
https://www.hitowa.com/kids-life/

企業主導型保育事業のコンサルティングから運営業務を行ってくれます。また、コンサルティングのみ、運営委託のみでも対応してくれますのでどちらかにニーズがある場合でも柔軟に対応していただけます。
認可保育園や学童保育など70園以上の子育て支援施設を運営しています。

◆株式会社マミーズファミリー
http://www.mammys-f.jp/sp/corporation/

こちらも企業主導型保育事業のコンサルティングから運営業務まで行ってくれます。マミーズファミリーでは、開設セミナーを無料で行うなどの保育所を開設するまでのサポートが充実しているのが特徴です。

◆株式会社ママスクエア
http://client.mamasquare.co.jp/nursery

企業主導型保育事業と託児スペースの運営を提供しています。
どちらも保育施設の内装工事から運営の委託まで行ってもらえます。主な導入企業としてはドン・キホーテの数店舗に企業主導型保育事業、モバイルワークオフィス“ちょくちょく”内に託児スペースを提供しています。
託児スペースは保護者が面倒を見ることになっていますので、子供の面倒や教育を行うことは提供していません。

5.まとめ

今後のワークライフバランスの手法の一つとして企業内保育所の導入について触れてきました。
まだ導入は難しい方でも今後の働く環境を整えていくために検討してみてはいかがでしょうか。
大きな決断が必要とされますが、戻ってくるメリットはとても大きいものになるでしょう。