社員教育の第一歩が踏み出せる!目的別の社員研修を「事例付き」で徹底解説!

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これから社員研修をはじめたいけど何をすればいいか迷う…そんな経営者やご担当者のためのお役立ちコラムです。
はじめに他社の社員研修の傾向を知った上で、目的別の社員研修にはどんなものがあるか?を学んでいきましょう。
事例も交えて解説するので、導入した時のイメージを沸かせてください。

1.社員研修のリアルを知ろう
 1-1.他の会社はどんな社員研修をしているの?
 1-2.「総合的な人間力」を高めるのが一番の目的
2.目的別の社員研修の考え方
 2-1.目的:コミュニケーション力を高めたい
 2-2.目的:問題解決力を高めたい
 2-3:目的:ビジネススキルを高めたい
 2-4.目的:人間力を高めたい
3.社員研修の「目的別」事例
 3-1.「コミュニケーション力を高める」社員研修
 3-2.「問題解決力を高める」社員研修
 3-3.「ビジネススキルを高める」社員研修
 3-4.「人間力を高める」社員研修
4.「社員教育の体系化」事例
 4-1.「JALの入社年に応じた」社員研修
 4-2.「東京ガスの部門・職種に応じた」社員研修
 4-3.「三菱UFJニコスの全社員を対象にした」社員研修
5.研修講師は、社員にお願いすべきか?プロに任せるべきか?
 コラム:社員研修をしない!と宣言する企業も
6.まとめ

1.社員研修のリアルを知ろう

じめに、社員研修について他企業はどのように考えているのかを見ていきます。

1-1.他の会社はどんな社員研修をしているの?

社員研修の最近の傾向をつかむには、教育担当者を対象したディスコ社のアンケート調査が参考になります。この調査では回答した243社中、従業員300人未満の企業が141社あり、中小企業やベンチャー企業のリアルな感覚を知るのに有効です。

数ある項目の中で、着目したいのは「実施率が高い研修プログラム」です。上位は次の通りです。

● 新入社員教育 95.5%
● 新入社員フォロー研修 72.8%
● 内定者教育 56.8%
● 中堅社員/管理職教育 59.7%
● マナー教育 50.2%

この結果から社員研修は、新入社員・中堅社員を中心に実施されている現状がよく分かります。中級管理者や上級管理者を対象にした社員研修も行われていますが、実施率は2〜3割に及びません。

大半の日本企業の社員研修は「とにかく若手重視」ということを覚えておきましょう。

1-2.「総合的な人間力」を高めるのが一番の目的

ではこれらの研修を通して、経営者や教育担当者は若手社員にどのようなことを身につけてほしいと考えているのでしょうか? 同アンケートの「研修を通じて若手社員に身につけさせたいこと」への上位の回答は次の通りです。

● コミュニケーション力 84.4%
● 問題解決力 70.4%
● ビジネススキル 57.2%
● 人間力 52.7%

すぐに仕事で使えそうな語学力やプレゼン力といった具体的なスキルよりも、コミュニケーション力や問題解決力などの「総合的な人間力」をつけてほしい、と考える企業がほとんどです。

では、具体的に若手社員の人間力を高める研修とはどのような内容でしょうか?次章以降で考えていきます。

2.目的別の社員研修の考え方

「研修を通じて若手社員に身につけさせたいこと」の上位に挙げられた目的を達成するには、どのような研修を具体的に行えばいいのかを見て行きます。

2-1.目的:コミュニケーション力を高めたい

身につけさせたいこと1位の「コミュニケーション力」を高めるには、周囲との共同作業が有効です。一つの目標を達成するために、ワークショップで話し合い、実際に行動してカタチにするような研修が合っています。

2-2.目的:問題解決力を高めたい

この部分を強化するには、ふだんは体験しないような試練を設定して、それを達成するのが有効です。達成するのが難しい、でも、頑張れば多くの人が達成できる、そんなちょうどいい試練の設定がベストです。

2-3:目的:ビジネススキルを高めたい

実際に仕事でやることをテーマにした研修が合っています。基本的なビジネススキル強化であれば、エクセル、名刺交換、ビジネスメールの基本などがあります。業種別の研修であれば、営業の基礎、プログラミングの基礎などがあります。

2-4.目的:人間力を高めたい

社会人としての自覚をもたせるための研修になります。地域貢献や社会貢献を通して、社会の一員であることの実感を育んでいくのが有効でしょう。

3.社員研修の「目的別」事例

「研修を通じて若手社員に身につけさせたいこと」のテーマごとに、具体的にどんな研修があるのかを見ていきます。

3-1.「コミュニケーション力を高める」社員研修

会社で起こり得る問題に立ち向かう、あるいは、架空の会社を運営していくといったシミュレーション型の社員研修です。バンダイナムコエンターテインメント×研修会社ノビテクが提供する『しごとっち』では、メンバーみんなで役割分担し、架空のゲームメーカーを 運営していくという内容になっています。

http://www.nobetech.co.jp/blog/archives/002139.php

同じゲーム要素のある社員研修でも、カードゲームを使うものもあります。仲間と協力しながら商社を経営するという内容で「チームワーク向上」を目指します。こちらも大手企業の導入実績が多数あるそうです。

日本で一番面白い研修はこれだ!カードゲームを使った研修

キャンディルのある年の新入社員研修のテーマは、「みんなで絶対に忘れられないランチを食べてくる」というもの。一生忘れられないランチとは?のお題をみんなで考え、実際にランチを食べて、さらにその模様を発表するという流れです。一つのテーマを仲間と徹底的に議論することでチームワーク力がつきます。「一生忘れられない〇〇」というお題は汎用性があります。次の研修のヒントにするのもいいかもしれませんね。


http://www.konnano-dodaro.jp/projects/unforgettable

3-2.「問題解決力を高める」社員研修

なんとか頑張れば達成できる試練として、多くの企業に採用されている富士山登山研修。
マラソンなどと違い登山であれば、体育会系ではない方もムリなく参加できます。富士山という分かりやすいアイコンがあるので、「よし、がんばるぞ!」というチャレンジ精神もかきたられます。

http://www.kyowa-d.co.jp/blog/3602/

3-3.「ビジネススキルを高める」社員研修

たとえば、営業マンの研修で有名なのが、富士山の麓に合宿所を置く「管理者養成学校」です。営業の基本である挨拶の基礎をたたき込まれ、さらに、ノルマを達成するための粘り強さ、能力を発揮するための自己管理力などが鍛えられます。

http://kanrisyayousei.site/2017/06/28/

ビジネススキルを高めるための研修は、講師を招いての座学形式が多いですが、自主勉強会方式で行っている企業もあります。
三浦屋では新人研修の一環として、メンバーみんなで同じビジネス書を読んで、気づいたことを発表する研修を月に1回実施。実感できる効果としては「積極的に意見を発表できるようになる」「他人の良い意見を自分の中に取り入れる」などがあるとのことです。


https://miuraya.jp/archives/ojt/ojt-2014/381

3-4.「人間力を高める」社員研修

松正工機では、会社周辺の用水路まわりをクリーンアップしながら、挨拶運動を実施。通常は気づかない所への意識を高めることで、高品質な製品づくりにつなげるというものです。社員研修の効果に加えて、CSR活動にもなりそうです。

http://matsusho-k.jp/443/

4.「社員教育の体系化」事例

ここまで目的別の社員研修を紹介してきましたが、より合理的な社員教育を行うには「社員教育の体系化」の視点も必要になってきます。ここでは3事例を紹介します。

4-1.「JALの入社年に応じた」社員研修

はじめに紹介するのは、社員研修が「その企業の体質を根本から変えた」という事例です。2010年経営破綻した航空会社の JAL。あれから約8年が経ち、伝統ある航空会社としての自信を取り戻したかのように見えますが、 その裏には新たな社員研修の存在がありました。

「JALグループ基本教育・研修体系」が発表されたのは、経営破綻から約2年後の2012年4月のことでした。その軸なったのが「モチベーションとコミュニケーション」です。 具体的なプログラムとしては、若手から中堅世代を次の3つの階層に分けました。

● 入社半年目から3年目 仕事うきうきコース
● 入社4年目から6年目 仕事わくわくコース
● 入社7年目から10年目 仕事いきいきコース

それぞれのコースの概要をざっと解説すると、入社直後からはじまる「仕事うきうきコース」では、社員一人ひとりに自信を与えた上で、みんなの心をひとつにすることを目的としています。

次の段階の「仕事わくわくコース」では、先輩と後輩の人間関係にフォーカスし、主体性とリーダーシップを強化する内容。そして、「仕事いきいきコース」はキャリアの棚卸しとプロフェッショナル育成がテーマです。

詳しい情報はこちら(産業能率大学WEBサイト)へ

4-2.「東京ガスの部門・職種に応じた」社員研修

エネルギー業界という安定した経営環境に見える東京ガスですが、東日本大震災後、エネルギー供給の改革が求められています。そんな中、新たな人事制度「貢献タイプ別人事制度」にチャレンジしています。

この制度では、社員を次の3つのタイプに分類しています。入社年ではなく、所属する部門や職種に応じた教育を行っているのが特徴です(※東京ガスが新人研修をしていないという意味ではなく、あくまでも、ここで紹介した「貢献タイプ別人事制度」の特徴を指しています)。

● エキスパート
● ジェネラル
● ビジネス・フェロー

上記のタイプのうち「エキスパート」は、全社員の約7割を占めます。生産、供給、営業など職種ごとに知識と技術を高めていくことが求められます。「ジェネラル」に属する社員は、部門を超えた広い視野を持ち、全体最適化のためのマネジメント力を高めていきます。最後の「ビジネス・フェロー」は、専門性の高い技能技術を追求して業績向上を目指します。

東京ガスでは、このタイプ別の社員研修と「すべての社員に共通の知識・スキルの強化」をバランスよく組み合わせて教育を進めています。ちなみに具体的な共通の知識・スキルとしては次の項目が挙げられています。

● 職場運営
● 人材育成
● チャレンジ
● 基礎的知識
● ガス事業
● 法務

詳しい情報はこちら(産業能率大学WEBサイト)へ

4-3.「三菱UFJニコスの全社員を対象にした」社員研修

最後にご紹介する社員研修の事例は、国内最大級のクレジットカード会社である三菱UFJニコスです。 同社では、「NUMアカデミー」という社内教育機関を立ち上げ、管理職を含む全正社員を研修の対象者に設定しています。

「NUMアカデミー」の最大の特徴は、教える側の講師も社員であるという点です。その上で3 つの目的を設定しています。

● 業務上必要な知識・スキルの強化
● 戦略/マネジメント力強化
● 新たな企業風土の醸成
この3つの目的のうち、とくに着目したいのは最後の「新たな企業の風土の醸成」です。企業研修を通して、これまで培った企業文化の浸透はよよくありますが、「新たな企業の風土の醸成」を目指すのはチャレンジングです。 この目的を達成するために、同社が実行してることは次のプログラムです。

● カスタマーフォーカス
● 全社目線
● 業務のプロとしての自覚
● 主体性の醸成に向け講演会・対話などを導入

詳しい情報はこちら(産業能率大学WEBサイト)へ

5.研修講師は、社員にお願いすべきか?プロに任せるべきか?

社員研修が成功するかの鍵を握るのは「講師」です。 具体的な選択肢は2つあります。1つ目は、社員の中でも知識と経験の豊富な方やハイパフォーマーにお願いするケースです。そして、2つ目は研修会社のプロフェッショナルにお願いするやり方です。
費用面でいえば断然、研修会社に依頼する方が高くなります。社員講師であれば、資料の出力代と人件費ぐらいしか、かからないでしょう。しかし、質の悪い研修をしてしまえば、 社員のモチベーションやスキルを高めるという本来の目的を達成することができません。
一般的な大手企業であれば、マナーやビジネススキルについては研修会社へ依頼し、外部の研修会社では講義が難しい専門的な知識や技術については、社員講師が担当するケースもよく見られます。
これにより、質を維持しながらコストも 抑えることが可能になります。予算が十分取れる企業でも、社員が講師を務める局面を作りたいものです。なぜなら、人に教えることは自分の知識と経験を体系化するよい機会になるからです。それにより、さらなるステップアップにつながります。

コラム:社員研修をしない!と宣言する企業も

社員研修は経営の根幹だけに、最優先の経営課題と考える社長が多いです。しかし、中には、星野リゾートの代表取締役社長・星野佳路さんのように「社員教育はしない」と宣言する方もいます。
星野リゾートでは基本的に社員教育をしていません。もちろん入社時に基礎技能の習得を課していますが、結局はチームでいかにこだわりを出していくかに尽きます。
引用:星野リゾート公式WEBサイト
星野リゾートが目指しているのは、従業員自身が発想・判断し、行動する領域をできるだけ広く設定する環境づくり。そのため、社員の自主性を妨げる可能性のある社員研修は採用しないという考え方です。
社員研修をしないかどうかは別として、「他社がやっているからという理由」ではなく、それぞれの会社(経営者の考え方)に合わせた社員研修のカタチを模索してもよいのかもしれませんね。

6.まとめ

最後に、このコラムで解説してきたことを振り返ってみます。国内企業の社員教育は新人・若手重視で実施されていて、社員研修で身につけてほしいことの上位には、「コミュニケーション力、問題解決力、ビジネススキル、人間力」などがあります。新人~幹部までの全社的な社員教育を合理的に行っていくには、「社員教育の体系化」の視点も必要になってきます。