メンター制度の導入方法って?どんな効果があるのか、実際に話を聞いてきました

人材・教育

メンター制度という言葉を聞いたことはありますか?
メンター制度とは社内制度の一つで、簡単に言うと先輩社員と後輩社員がペアになって、一定期間後輩社員のサポートをしていく制度です。

2014年度卒の新入社員のうち、3~4人に1人が入社3年も絶たないうちに会社を辞めています。入社して半年もたたないうちに辞めてしまうケースも少なくないのです。
そんな傾向だからこそ、メンター制度といった教育体制への重要性は年々高まってきているのでしょう。

「新入社員の離職率を下げたい」
「効率よく人材育成をしたい」
「社員同士の関係性をもっと強いものにしたい」
メンター制度を導入することで、これらの問題を解決することができます。

この記事では、メンター制度の概要、導入企業のインタビューや注意点も合わせて詳しく紹介していきます。

インタビューでは、メンター制度の運用を行っている人事担当者の方と、実際のメンターとメンティーの方にお話をお伺いしています。
社内におけるメンター制度の詳細や、メンターの選定方法なども詳しく紹介しているので、自社への導入を考えている人事の方は是非参考にしてみてください。

参考URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html
(「新規学卒者の離職状況」厚生労働省)

1.メンター制度って何?
2.~導入企業インタビュー~ メンターの選定方法や参考にしたい制度のルールとは
3.自社をどんな会社にしたい?メンター制度の導入に向いている会社
4.メンター制度を導入する際の注意点
5.まとめ

1.メンター制度って何?

メンター制度という言葉を初めて聞いた方もいるのではないでしょうか?
ここでは、メンター制度について詳しく説明していきます。

■メンター制度とは

メンター制度とは、【先輩社員が後輩社員に対して行う個別支援活動】です。

他部署の先輩と後輩がペアを組み、精神的サポートを行うことを制度化したものです。仕事を教えてもらったり指示をもらったりする業務上の関係とは別に、仕事の悩みやプライベートの悩みを相談できる先輩と後輩で信頼関係を築いていきます。

信頼関係を深めていく中で、後輩は先輩から様々なことを学び、また、先輩も後輩の思いや考えに自分を重ねて振り返り、人間的に成長していきます。

メンター制度における、先輩社員のことをメンターと呼び、後輩社員のことをメンティーと呼びます。指導する側がメンターで指導される側がメンティーです。

■他の制度との違いは?

メンター制度とよく似た制度として、「ブラザー・シスター制度」や「エルダー制度」「OJT」などがあります。ブラザー・シスター制度は対象が新入社員限定であることや、OJTは実務指導しか行わないことなど、対象者や内容は似ている様で若干の違いがあります。一般的な概要は以下の通りです。

メンター制度 ブラザー・シスター制度 エルダー制度 OJT
指導者 他部署の先輩 部署内の年の近い先輩 部署内の先輩  職場内の先輩、上司
対象者 全社員(経営者含む) 新入社員 新入社員 全社員
内容  キャリア形成、メンタルサポート 実務指導、職場生活上の相談(含まれない場合有) 実務指導、職場生活上の相談(含まれない場合有) 実務指導

※それぞれの制度の定義は会社によって様々で、実際はあいまいな部分が多いです。

感覚的には、表の右の方に行くにつれて、仕事寄りの関係と考えていいでしょう。

メンター制度は人間的な成長や信頼関係の構築を目的としているので、本来業務に関する指導などはありません。しかし、ブラザー・シスター制度とエルダー制度は似ており、同じ意味合いで使っている企業も多いです。

■どんな人がメンターになれるの?

メンターになるための特別な資格は必要ありません。しかし、直属の上司だと相談しにくいこともあるため、直属の上司ではないことが条件で、基本的には自薦をして決まります。メンターはメンティーの良きお手本になるような人物でなければなりません。一般的には入社3~5年目の社員がメンターになる場合が多いです。

■メンターとメンティーのマッチング方法は?

メンターとメンティーの組み合わせを決める方法は、会社によって異なります。

方法①:人事担当者がメンターとメンティーの候補の中から様々なことを考慮して決定する。
方法②:メンティーが希望のメンターを選び、決定する。

どちらの方法にしても二人の相性が大事になってきます。いい関係を築ける素質があるかどうか、互いの性格が合うかどうか見極めることが大切です。マッチング方法に関しては、人事担当者が最適だと思った方法で決定をしましょう。

■メンター制度はずっと続くの?

一般的なメンター制度の実施期間は半年~1年間で、メンタリングの回数をあらかじめ設定する場合が多いです。しかし、信頼関係ができてしまえば、メンター制度の期間が終了しても引き続き気の置けない先輩として良好な関係が続いていくでしょう。また、メンティーとして成長した後輩社員が次はメンターとなると、自分が学んだことを後輩に伝えていく、という人材育成の連鎖が生まれます。

□コラム□
「メンター」という言葉の語源は、ギリシャ神話に登場するメントールという男性の名前に由来しています。メントールは親友のオデュッセウス王の息子を立派な王に育て、王の息子にとって良き指導者・良き理解者・良き支援者として名を馳せた人物です。

2.~導入企業インタビュー~ メンターの選定方法や参考にしたい制度のルールとは

メンター制度の概要はわかりましたね。
しかし、社内での制度自体の決まりや、他の類似制度との線引きは会社によって様々です。実際に導入している会社はどんなことをルールとしているのでしょうか?また、実際にメンターとメンティーはどんなことを話しているのでしょうか?

今回はメンター制度を導入し、制度の運営にも力を入れている株式会社ニーズウェル様にインタビューをさせていただきました。メンター制度をご担当されている人事の方と、それぞれ実際のメンター・メンティーである社員の方お二人にお話をお伺いすることができました。


左から、株式会社ニーズウェル総務部の田畑更二さん、メンターの佐藤麻衣さん、メンティーの佐々木知香さん。

まずは、メンター制度をご担当されている、田畑更二さんに話をお伺いしました。

ーー初めに、メンター制度を導入したきっかけを教えてください。

「以前は新卒に対するフォローの制度などがなく、悩んで辞職してしまったり話を聞けば解決出来たりということがありました。
実は、最初のきっかけは、社員の方からメンター制度を導入しないかという提案があって、社員が企画書を作ってくれたんです。そこから、私も含め何人かで制度を設計し始めたといった流れです。企画書を基にメンターとメンティーを10人集めて、説明会なども開いて、まずはスモールスタートという形で2009年にメンター制度を導入しました。」

ーーメンターの選定は田畑さんが行っているのでしょうか?

「そうですね。この人にメンターになってほしいなというのを何人かピックアップして、1人1人に個別にアプローチをします。やる気がある人にやってもらわないと意味がないのと、バランスのいい人でないと出来ないというのがあります。新入社員のときにメンティーを経験していると、より良いメンターになるので、基本的には新卒入社の社員が多いです。

以前は、メンターは入社4年以上の社員にしていたんですけど、現在は3年目からの社員にもメンターをやってもらっています。基本的にはそれぞれ1人につき1人なのですが、場合によっては2人つくこともあります。2年目の社員がメンターになるための勉強も兼ねてサブメンターとしてついている場合などですね。」

ーーバランスを見て、というのは具体的にどういうところを見ているのでしょうか?

「最初はリーダーシップを発揮してくれそうな人をメンターにしていました。でも、それだと上手くいかないこともありました。メンティーが弱音や本音を話したときに、「それじゃダメなんだよ!」って言うのではなく、それを聞いてあげて「大丈夫だよ」と認めてあげることも大事になってきます。
話を聞くこともできるし、時には背中を押してあげることも出来る、そういった意味のバランス、が大事になってきます。」

ーーメンターとメンティーの組み合わせも、田畑さんが考えるのですか?

「そうですね。内定者の段階で、この人にはこの人が合うだろう、というなんとなくのあたりを付けています。性別も、女性は女性ならではの悩みなどもあると思うので、同性で組み合わせをしています。
基本的にはお互いの性格を見て判断していますが、そこには時間をかけて慎重にやっています。最終的な組み合わせに関しては、現場の社員や他の社員にも意見を聞いて決めます。」


株式会社ニーズウェル総務部の田畑更二さん。

ーーメンター制度実施の期間は決まっているのでしょうか?

「17年卒の新卒の場合だと、7月までの外部研修が終わった8月からメンターがつきます。プロジェクトに配属されてからの方が新たな悩みや大変さが出てくると思うので、そこを個別にフォローするという考え方で、その時期にスタートをしています。そこから2年目の6月まで続いて、同月に成果報告会を行っています。役員やマネージャーも集まって、それぞれ出来るようになったことや反省点を発表します。

また、メンティーが2年目になると、メンター面談は年に3回の頻度になります。メンターがつくのは基本的には2年目までで、それ以降はメンターになってもらうという流れです。」

ーーメンター制度のルールはあるのでしょうか?

メンター面談(メンタリング)は月1回必ず対面でやりましょうというのと、その際に報告書を毎月あげてもらうことくらいですね。報告書は新入社員が記入する欄と、裏面にメンターとOJTトレーナーが記入する欄があり、面談結果を記入してもらいます。それを見て問題がないかをこちらが確認します。」

ーーメンター制度の導入後に大変だったことはありましたか?

「メンター制度自体のことではないのですが、OJTトレーナーと合わないという相談があったことをメンターから報告を受けることが2年に1度くらいあります。その件に関してはこちらが引き取って現場にも話を聞いて、マネージャーなどとも話して、OJTをどう変えるかっていうのは大変でした。
結果的には変えて良かったというケースが多いので、メンター制度が役に立った部分がありました。人事側で運用するのが大変な部分もありますが、何年もかけて社内で制度を作ってきたので、制度としてはかなり確立されていると思います。導入する際に1番難しいのはメンターにふさわしい人がその会社にいるのかというところだと思います。

ーーOJTトレーナーと合わない、というような相談は報告書で上がってくるんでしょうか?

「その場合もありますが、報告書は全メンター、全OJTトレーナー、システム部の部長などにも共有をするので、メンティー以外の社員は他のメンターやOJTトレーナーがどんな風に指導やフォローをしているかを見られるようになっています。
そのため、そういった相談は基本的には個別に連絡が来ますね。」


メンター制度に関する資料の数々。報告書のサンプルや年間スケジュールなども合わせて説明してくださいました。

ーーメンター制度を導入して、どんな良い効果が得られましたか?

「世の中では3年で3割辞めると言われていますが、弊社は2割弱くらいだと思います。離職率としては、導入前と導入後で比べると確実に低くなっていると実感しています。新入社員の時は相談事ってなかなか言いづらいですよね。
メンター制度を導入する前に、そういった相談事を全く言えないという人をフォローしたこともありました。自分は人事なので、『採用してもらった人にこんなこと言えない、って思ってました』って辞めるときに言われるんですね。人事という立場の人には相談しづらいことだとわかり、若手の社員にメンターとして任せたという部分もあります。

また、メンターやOJTトレーナーって次世代のリーダー候補なので、新入社員の成長だけではなく、その人たちの成長も見ることができ、役員は喜んでいますね。若手社員を筆頭に全体がステップアップしているんだなっていうのを目の当たりにできるので、人事の私も含め嬉しいです。

ーー相乗効果によって社員全体が成長できるのですね。

「そうですね。あとは、毎年メンターをやってほしいと思って選定した人に話を持ち掛けると、全員が快くやりますと言ってくれ、むしろ選んでくれて嬉しいという反応をしてくれるんです。
メンターって報告書も書かないといけないしきちんとフォローしないといけないので、通常業務が忙しいときなんかは大変な部分もあるかと思います。それを知ったうえで受けてくれる人が多いのはすごく良かったですね。」

ーー社内で制度が定着してきた証拠ですね。ありがとうございました。

メンター制度を取り入れることによって、社員全体の成長にもつながることが分かります。メンターの選定や組み合わせ方法、期間など制度の概要について詳しくお聞きできて大変参考になりました。
では、実際にメンターとメンティーのお二人にもお話をお伺いしたいと思います。


メンターをやられている佐藤麻衣さん(写真左)そのメンティーである佐々木知香さん(写真右)

ーーメンター面談は業務時間外に行っているのですか?

佐藤さん「そうですね、業務後に行っています。時間は特に決めてはいませんが大体2時間くらいで、会社を出てご飯を食べながら行っています。
最近はメンター面談に経費が出るようになりました。以前はカフェ代として少し出ていたのですが、制度としての効果が認められ、軽くお酒も飲めるくらいの額(月6,000円)が経費として出るようになりました。」

ーーメンター面談では、どんな内容を話しているのですか?

佐藤さん「最初の方は、現場の対人関係とか仕事に対する意識などがメインでした。そこから徐々に業務の中でこういったことができない、など細かい業務内容の相談に変わっていきましたね。
私たちは、目標とか今後どうしていきたいかということをよく話していましたね。仕事と関係ない話だと、休日何してるかとか普通のことも話します。」

ーー質問内容のフォーマットなどはあるのでしょうか?

佐藤さん「いえ、特にはありません。報告書を見て、問題に感じている点をどう解決したか、先月から出来るようになったことはあるか、それはどうやってできるようになったか、などを聞いたりします。
メンター面談の前に見る報告書は、メンティーとOJTトレーナーが記載した状態になっているので、それを参考にしながら質問を考えます。」

ーーメンティーの佐々木さんは、メンターにどんな事を相談しますか?

佐々木さん「仕事に慣れてきて、仕事に対するモチベーションが下がっていた時がありました。それは結構大きな悩みだったのですが、そういったことも相談していました。
その時に佐藤さんも同じような悩みを抱えていた時期があったみたいで、会社に採用してもらった恩を返そうという話をしてくださいました。佐藤さんのお話を聞いて、目標をもって達成していこう、という気持ちの切り替えができるようになりました。

ーーメンター側のモチベーションとしては、どういった気持ちですか?

佐藤さん「早く一人前になってほしい!という気持ちです。かつ、自分が担当しているメンティーなので、どの新入社員よりも一番素晴らしい人材になってほしい気持ちはあります(笑)成果報告会で、私の担当したメンティーが一番良かったねって言ってもらえるとすごく嬉しかったりしますね。


入社4年目の佐藤麻衣さん

ーーメンターになってご自身に何か変化はありましたか?

佐藤さん「業務的には、報告書を記載するのと面談前に報告書を読んで面談のための材料を集めたりとかはしますが、負担が増えたという風には感じてないですね。

自分の成功談も話しつつ、こういう案もあるよ、という話し方を意識するようになりました。そのうち、伝え方の難しさを感じたり、メンターとしての悩みとかもでてきました。そうなった際に誰かに助けを求めたり頼ったりしてもいいのだ、と気づけたことが良い変化だなと思います。」

ーーメンター側にもいい変化をもたらすのですね。ありがとうございました。

メンターの経験から得たアドバイスは、メンティーにとってすごく参考になりますよね。また、メンターになった先輩社員も、メンターの経験を通して成長できることが分かります。

ニーズウェル様を取材させていただいて、メンター制度を導入する際に必要なこと、メンターの選定方法や報告書の内容など、参考にしたいことが多くありました。離職率の低下や社員全体の成長など、実際にどんな効果があるかもわかりましたね。自社にメンター制度を取り入れる際に、是非参考にしましょう。

◇株式会社ニーズウェル
事業内容:業務系システム開発/基盤構築/組込系開発/ソリューション
住所:〒162-0067 東京都新宿区富久町13−15 サウスタワー
URL:http://www.needswell.com/

3.自社をどんな会社にしたい?メンター制度の導入に向いている会社

メンター制度のンター制度を導入する目的やメリットは沢山ありますが、自分の会社に必要なのか疑問に思いますよね。下記に当てはまる会社は、メンター制度を導入することで理想の会社に近づける事ができるでしょう。

*効率よく人材育成をしたい

メンターとメンティー両方の人材育成を同時に行えることは、メンター制度を導入する大きなメリットとなります。

【メンティー側】:メンティーが新入社員の場合、社会人としての心得を学んだり、メンターを良いお手本として見習う中で成長し、社会人としての自己の確立が期待できます。メンターのことを、なりたい先輩像や目標の人物と感じることができれば、メンティーの目指す社会人像が明確になり、それは仕事のモチベーションにも繋がります。
【メンター側】:メンターは、自分がメンティーの良いお手本となって自分の経験を活かしながら支援をすることで、メンター自身も人間的に成長します。人材育成の経験を積むことができ、その経験を自らのキャリアアップにも繋げることもできるのです。メンターとして頼られることで責任感が強まり、新たな学習意欲の促進になったり、どんどん魅力的な人間に成長します。

*離職率を下げたい

新入社員の場合、慣れない生活や環境の中で、仕事に関することだけでなく私生活のことなど新入社員特有の悩みも多くあるでしょう。
業務に関わることは直属の上司ないし人事担当者に相談することが最善ですが、その前にワンクッションとしてメンターに相談することで、気持ちが楽になったり良い解決策を一緒に導き出せる可能性が高いです。精神的なケアをすることで、新入社員の離職率の低下につながります。

また、メンターとしてやりがいを見出せると、メンター側の離職率も下げることができます。後輩の悩みを聞いていく内に初心に返ってフレッシュな気持ちで仕事が出来たり、責任感が生まれたりします。その結果、メンターとメンティー両方の離職率を下げることができるのです。

*社員同士の関係を濃くしたい

社員同士の交流はうまく行えていますか?
社内に悩みを相談できる人がいるのといないのとでは、仕事を行う上で気持ちが大きく違います。メンター制度を導入すると、社員同士の信頼関係が生まれます。部署の垣根を超えた関係性が社内でいくつも生まれることで社内コミュニケーションが活性化し、結果的に社内全体の雰囲気が良くなります。メンターと接する機会が多くなると直属の先輩との接し方もわかってくるので、同じ部署内でのコミュニケーションも円滑に取れるようになるでしょう。

~メンター制度を導入する目的は様々あります。~
導入を考える際は、今自社に足りていないものは何か、どう改善していきたいかを明確にし、導入の目的を定めましょう。

□コラム□
助成金が出るって本当?厚労省はメンター制度を正式制度として導入する会社を後押しするために、2017年4月から助成金政策を打ち出しています。メンター制度を導入して実施すると、10万円の補助金が出ます。また、離職率低下の目標値を達成した場合には57万円、生産性要件を満たした場合には72万円もの助成金が出ます。詳しくはこちらをご参照ください。https://www.mentor-kyoukai.jp/内製化支援/メンター制度の助成金について

4.メンター制度を導入する際の注意点


ここでは、メンター制度を導入する際に気を付けたいことをご紹介します。導入した後にどんな問題が上がってくるのか、事前に知っておくことで対処できます。

*メンターとメンティーのミスマッチ

メンター制度を取り入れる際に一番注意しなくてはいけないのが、メンターとメンティーのミスマッチです。
人と人なので、相性というのは必ず存在します。互いの性格を見て慎重に判断しましょう。現場の上司に話を聞くなど、他の人の意見も参考にするといいです。実施中も、人事担当者が定期的にメンターとメンティーに話を聞くなど、動向をチェックしましょう。場合によっては組み合わせを変えるというのも一つの手段です。

*依存してしまうと自分で答えを考えなくなる

メンター制度では精神的なサポートを主に行いますが、メンティーがメンターに依存してしまうケースがあります。
何でも相談にのってくれるメンターは頼りがいがありますが、依存してしまうのは決して良い関係とは言えません。メンティーが自ら考えるのをやめてしまったり、自立が遅れてしまうことがあります。
メンターはメンティーに対して、「人材育成」という意識を持ち、接することが大事です。答えを与え続けるのではなく、「こういう意見もあるけどあなたはどう思う?」など、メンティー自身が考えて答えを出す、という手助けをしましょう。

*直属の上司の理解不足

直属の上司がメンター制度に対して知識や理解が足りなかったりする場合があります。そうすると、「メンター制度を導入したのは自分の力不足が理由なのだ」と感じてしまったり、「メンターの言うことばかり聞いて自分の意見は聞かないのか」と感じてしまう可能性があります。そうならないために、チームマネージャーが揃ってメンター制度のセミナーに参加するなど、メンター制度を導入する重要性の理解を進めていきましょう。

5.まとめ

メンター制度とはどんなものか、自社に取り入れるべきかどうか、イメージはできましたか?
メンター制度の目的は、人間的成長や人材の確保、社内コミュニケーションの活性化など様々ありますが、導入することで企業や社員に多くのメリットがあります。
また、会社によってメンタリング回数やマッチング方法も多種多様にあるので、ぜひ自社に合ったルールでの導入を検討してみてください。