新卒定着率100%の企業から学ぶ、離職率を下げる4つの取り組み【株式会社Enjin】

1897

「自社の新卒定着率が低いが、どんな取り組みを行えばいいのか分からない」
「定着率が高い企業はどんな取り組みをしているのか知りたい」
とお困りの企業も多いのではないでしょうか?

厚生労働省のデータによると、平成26年3月に卒業した新規大卒就職者の3年以内の離職率は32.2%と、3人に1人が新卒3年以内に離職している状況が続いています。

新卒の離職率を防ぐためには、『入社前のミスマッチを減らすこと・入社後も働きやすい環境を整備すること』の2点が非常に重要です。

今回は、人材定着率100%(2017年度)と高い定着率を誇る株式会社Enjinを取材し、そのノウハウをまとめました!定着率を向上させる為の取り組み・制度や、理想の人材像など幅広くお話を聞いてきたので、悩んでいる方は是非参考にしてみて下さい。

定着率が高い企業を参考に、自社に合った取り組み・制度を考えましょう。

1.早期離職の損失コストからみる定着率を上げるべき理由
2.新卒定着率100%の企業から学ぶ!定着率を上げる4つのポイントを徹底取材
①会社のミッションを果たせる人材に成長させる為の制度を充実
②採用したい人物像を明確化、面接時に採用したい人物像・会社の方向性を伝え、ミスマッチを防ぐ
③トップから社員に話す場を、定期的に設けている
④仕事以外にも人間関係を構築する場所・機会を用意している
3.企業で活躍する人材はgiverであること
4.まとめ

1.早期離職の損失コストからみる定着率を上げるべき理由

新卒の早期離職は、企業にとってコスト面で大きな損失となります。

マイナビの『2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査』によると、1人当たりの採用コストは46.1万円(非上場は46.7万円)かかっています。
これだけの採用費をかけて採用した人材が、早期に離職してしまうのは痛手です。

また、一番大きい損失は給与です。
社会保険も含めて、月額20万円×12か月+ボーナス2か月分としても、年間280万円かかります。加えて2年目、3年目と昇給すれば、給与だけで1000万近くの費用がかかることになります。その間に社員が全く売り上げに貢献しないということはないでしょうが、多くの企業では早期離職者の採用・教育にかかった費用を回収することは難しいのが現実です。

一人採用するにも多くのコスト・時間・労力がかかっているにも関わらず、早期離職者は企業への利益還元が大して見込めない状態で会社を辞めていくことになります。
これでは、その社員にかけてきたものが、すべて水の泡…という状況になりかねません。

不必要なコストを見直すためだけではなく、企業に利益をもたらす価値ある人材にするために、人材定着に取り組むことが非常に重要なのです。

今回は、新卒の定着率が100%、また従業員数70名の企業ながら新卒採用時には1万ものエントリー数を誇るEnjinに新卒の定着率を上げる4つのポイントと取り組みを徹底取材してきました!
取り組み事例を参考にして、自社に足りないポイントはどこか、見直すきっかけを作ってください。

2.新卒定着率100%の企業から学ぶ!定着率を上げる4つのポイントを徹底取材

株式会社Enjin代表取締役会長 本田様と広報担当 佐藤様に取材させていただきました。

社名:株式会社Enjin
事業内容:メディア事業、PR事業、広告代理業、映像制作
社員数:70名
公式サイト:https://www.y-enjin.co.jp/

本田代表は、会社のミッション・方向性を常に社員に共有することを大切にしています。また、制度作りや環境づくりも、ミッション・方向性を土台として作られています。
Enjinの取り組みの中には、新卒の定着率を向上させるヒントがたくさんあり、以下の4つの方法が実施されています。

★Enjinから学ぶ!新卒の定着率を上げる4つのポイント★
①会社のミッションを果たせる人材に成長させる為の制度を充実
②採用したい人物像を明確化、面接時に採用したい人物像・会社の方向性を伝え、ミスマッチを防ぐ
③トップから社員に話す場を、定期的に設けている
④仕事以外にも人間関係を構築する場を用意している

 

インタビューでは4つのポイントに沿って、様々な制度を運用していくことの苦労・工夫点についてもお聞きしたので、参考にしてみてください。

①会社のミッションを果たせる人材に成長させる為の制度を充実

―御社は制度が充実している印象があります。どういった考えの元、導入されているのでしょうか。

本田:当社はずっと中途採用を行っていて、新卒採用を始めると決断したのが設立8年目になります。その時に『新卒を採用するんだからしっかり教育していかないと』と思い、制度を導入しました。ミッションである社会の役に立つ立派な人間を輩出するためには、社員一人一人が成長する必要があると考えていて、制度もその一つです。その根底にある考え方は当社が謳ってるOHANAポリシーですね。

OHANAポリシーとは?
OHANA(ハワイ語で家族)は、血縁関係が無くとも経済的に結び付き合い、互いに支え合う関係を指す。Enjinでは『OHANA=社員』でなく、クライアントや取引先業者、社員の家族の方々を含めている。OHANAポリシーとは、その人たちの成長に自らまず働きかけ、そして自分が成長できる環境に身を置くこと。

 

―社員の成長を促す制度作りとは、具体的にどういった考えのもと行っているのですか。

本田:成長できる環境を用意してあげること、そして働きかける側の社員が幸せで充実していることが大切だと思っています。人が幸せになっていくには条件として、『経済的に自立している・心身ともに健康的である・良好な人間関係に恵まれている』の三つを頂点とした三角形がバランスよく保たれていることが大切だそうです。制度を作るときには正三角形のどれかに役立つような制度設計をしています。

―社員の方々に制度を使用する際に伝えていることはありますか。

本田:福利厚生は会社が発展するためのものです。自分が得るものだけっていう一方的な考え方の人が多いので、『そういう考え方は良くない。会社の一員として、社会の役に立つために成長しなければいけない。そのために制度を用意している』というのは伝えています。福利厚生は全体のパフォーマンスが上がる為にあって、ここの考え方をはき違えると、会社って上手くいかないと思います。

―トップから意識を共有していくことは非常に大切ですし、どの企業においても取り組むべきことですね。

本田:Candy Action(会社周辺のゴミ拾い・ボランティア活動参加)や募金、休み明けの出勤日は”11時出社”にするなど、当社で試して良いと思ったものをクライアントに広めていきたいです。
社員に幸せになってほしいと思っていても、どう環境を整えたら良いのかわからない社長さんが多いんです。Candy ActionはNPO法人を立ち上げてます。そこに他社さんを巻き込んで一緒に活動するというのを、これから本格的に取り組んでいきたいです。


【pick up!】

★社会で役立つ人間になるミッションの一環!ボランティア活動を行う『Candy Action』

社員みんなで会社周辺のゴミ拾いを月に一回、有志では不定期で、様々な地域のボランティア活動に参加。エンジンウォークラリーというチームが主導で、社員に呼びかけを行っています!

・社員に浸透させるための工夫点
週に1回、本田代表が全社員に会社のミッション・方向性を共有、Candy Actionも会社の目指す方向性の一つとして、重要であることを伝えている。代表自らが常に社員に呼び掛けることによって、社員も意識的に取り組むことができています!

★脱サザエさん症候群!休み明けは11時始業だから爽やかに出社できる『月曜ゆとり出社』
精神的に負担が大きいとされる月曜日の朝。日曜日の夜にワクワクした気持ちで一週間を迎えた方が仕事へのパフォーマンスが向上するのでは、という思いから制度化。

★昼食・夕食を無料で社員に提供する『おかあちゃんありがとう制度』
健康管理も仕事の一つと捉え、栄養バランスを考えた食事を社員に提供。一緒に食事をすることで、コミュニケーションの活性化を図ることも!


 

―御社の制度の中で、社員同士の旅行に援助金が出る”オハナ旅”が面白い制度だと思いました。この制度はどういう意図で作られたんですか。

本田:一緒に働く仲間として仲良くしてほしい、そのためには環境を変えることで、より良いコミュニケーションが取れるのではないかという思いから制度化しました。こういう制度を通して、普段行けない場所に行く・出来ない経験をして、視野を広げてほしいと思っています。

 


【pick up!】
★会社から旅行の援助金が!有給を利用して社員同士で旅行に行く『オハナ旅』

社員同士の旅行は会社から最大5万円/年の援助金を支給!
同期同士、同じチームの先輩後輩など…普段と違う土地・経験を共有することで、より関係性が深まります!

・活用されるための工夫点
上司が積極的に制度を利用し、部下が制度を使いやすい環境をつくること。オハナ旅の第一弾はマネージャー2名で沖縄の離島に!また援助金の金額は、上長と事前にしっかり話し合う場を設け、双方が納得できる額にすることが運用のポイント。

★平日5連休+前後の土日で9連休を取得できる『モアナイン』
有給消化促進にも一役買う制度。今年の10月から開始した新しい制度で、現状社員の5名(2組)が早速活用!

・活用されるための工夫点
休暇を取得する社員のカバーを他社員が行う必要性はあるが、営業それぞれの目標を個人で管理、スケジュールをしっかり組むことで、カバーする量を最小限に。休暇を取得するメンバーがいても、スムーズに業務を行える環境ができています。


 

―達成した目標に対して、ハワイ旅行やスーツが贈呈される宣言制度もユニークですよね。宣言の内容はどのように決めているんですか。

本田:宣言の内容は上長と話し合って決めることになっています。ご褒美も社員自ら決めてもらい、達成したら会社からプレゼントする仕組みになっています。制度は2016年から導入しています。ちなみに最初の宣言はダイエット宣言でした(笑)宣言の内容自体は仕事以外でも、上長の許可が下りれば大丈夫です。

 


【pick up!】
★社員の有言実行を推奨!目標を達成したら会社からご褒美ありの『宣言制度』

目標と達成した時のご褒美、達成しなかった場合の罰ゲームを公言。実現したご褒美はハワイ社員旅行、スーツなど!制度は2016年導入、個人・チーム単位などそれぞれで宣言内容を上長と相談して決めています。

★社員のアイディアが自社カフェで使えるコインに!自発的な発言を促す『1コインアワード』

社員が考えるきっかけを作る為の制度。社員から常にアイディアを募集しており、こうなったらもっとよくなるのにと思ったらすぐ投稿。実行されるされないに関わらずカフェで使えるコインが配布。


 

―様々な制度の中で、『特にこの制度は他社さんにおすすめしたい』という制度はどれでしょうか。

本田:親孝行休暇制度ですかね。当社のミッションを体現化した制度なので、最初に制度化しました。全社員が必ず取得するように呼びかけも行ってます。


【pick up!】
★両親の誕生日や命日に特別休暇が取れる『親孝行休暇制度』
有給ではなく、特別休暇として取得可能。実家が遠方の社員には交通費(飛行機や新幹線)も支給!入社1年目社員には80%、2年目社員は70%、3年目以上の社員には50%補助。


②採用したい人物像を明確化、面接時に採用したい人物像・会社の方向性を伝え、ミスマッチを防ぐ

―御社はどんな人材を求めて採用を行っているんですか。

本田:当社のミッションである『社会の役に立つ立派な人間』になりたいと思っている人を採用したいです。『人の役に立ちたい・親孝行したい』という思いを持っている人ですね。お金を稼ぐことも確かに大切ですけど、それ以外の人間性の部分もすごく重要でバランスが大切だと思ってます。

―面接の際には、具体的にどんなお話をされているんですか。

本田:ミッションをお伝えし、その考え方に共感できるのであれば一緒に働いていきましょうというお話をしています。
親孝行面倒くさい・お金と関係ないことを会社にさせられているという考え方もあると思ってます。そういった方が入社しても面白くないし、お互い不幸になります。それを防ぐために、面接の段階で会社の考え方を先に伝えています。

③トップから社員に話す場を、定期的に設けている

―社員の方々に対してはどういった形でお話されていらっしゃるんですか。

本田:週明けの11時出社の日に、ビジョンや考え方を話す本田会議という場を設けてます。全社員集まって、毎週大体30分~1時間ほど行ってます。

佐藤:今日も丁度本田会議があったんですが、世の中の流れや、これからAIがくるから、自分たちも生き残る為に今こういうことが必要なんだっていう話をして頂きました。この時間があると、(本田)会長が考えていることが分かります

―本田会議以外に社員とのコミュニケーションを図るために行っていることはありますか。

本田:Work placeというコミュニケーションツールを使って、世の中の流れや、自分自身の考えを結構呟いてます。
何のために働くかってすごく大切で、そこに対して同じ想いを共有した仲間がいるのが組織であり会社であると思っています。経営側がどう考えているのか伝えて、社員が納得できるようにすることが重要だと思ってます

佐藤:入社した時から今に至るまで、Enjinの方向性をずっとお話頂いてるので、考えがぶれることはなかったです。会長との距離がすごく近くて、オフィスにいる時は話しかけてくださいます。

④仕事以外にも人間関係を構築する場所・機会を用意している

―新卒社員の定着率を向上させるには、同期同士の関係性も大切だと思います。御社は同期同士のつながりを意識した取り組みを行っていますか。

佐藤:月に1回、同期会をしましょうという風潮があります。会社側が同期会の費用を負担してくれるんです。OHANAスペースを使用して行ってます。仕事後そのまま出来るので、集まりやすいですね。
同期会は制度化してるわけでは無いんですが、社員間に浸透しています。同期だけじゃなくチームでの飲み会もよく開催していて、社員間の結びつきは強いと思います。

本田:色んな制度を導入しているんですけど、外部から批判もあるんです。私はよく言うんですけど、やらなかったら何にも生まれないので、やって批判もらったほうが良いと思ってます。批判があってもいいと思ったらやるようにしてます。

 


【pick up!】
★お昼はカフェで打ち合わせ、夜はバーで飲みニケーションも!『カフェ&バー OHANA』

フロアの半分以上を使った広々としたスペースで、昼はカフェ・夜はバースペースとして活用。打ち合わせや仕事スペースとしての活用はもちろん、同期会やチーム会、他社さんを招いてのイベントなど、コミュニケーションの場として利用!

・カフェ・バーが活用されるための工夫点
社員のみ使用できるEnjinコインを毎月チームに配布。上長がチーム活性化のために社員に渡したり、コインでカフェをご馳走したり。自費で飲むことが少ないのも活用されるポイントです。18時半以降はドリンクバー無料・お酒も飲めます!居酒屋に行く手間・お金がかからないのも社員にとっては嬉しいところ。
定期的にイベントも開催していて、先日行われた夏祭りイベントでは浴衣でイベントを楽しむ姿が!私たちも参加させていただきましたが、とにかく熱気があり、部署・年齢を超えて楽しんでいる姿が印象的でした。何事にも全力なEnjinの社風が見えたイベントでした!


3.企業で活躍する人材はgiverであること

新卒の高定着率を誇っているEnjinですが、理想の人材像を明確にし、代表から社員のあるべき姿を伝えています。取材を通して理想の人材像についてお聞きすることができました。採用・人材育成のヒントになるお話だったので、定着率が向上しない…とお悩みの方は参考にしてみてください。

★Enjinが考える理想の人材像★
・giver(相手に対して自分は何が出来るかと考えて行動できる人)となれる人材
・自社のミッションを理解し、率先して行動・周りに呼びかけを行える人材

 

・giver(相手に対して自分は何が出来るかと考えて行動できる人)となれる人材

本田:アメリカの本で『give&take』という本があるんですけど、その考えがすごく好きなんです。世の中は3種類の人間がいて、①giver(相手に対して自分は何を出来るかと考えて行動できる人)②matcher(してもらえたらお返ししようと思う人)③taker(自分が取ることばかりを考える人)に分かれるんです。
世の中で成功して幸せな人と、不幸な人がいるとして、そのどちらもがgiverなんです。違いは、トップのgiverの周りにはgiverがいる、ボトムの人の周りにはtakerがいるんですよ。なのでgiverが集まれば、成長路線に乗っていけるんじゃないかと。

仕事上でも指示待ちの人間は、パフォーマンスを最大限に発揮することは出来ません。Enjinでは常にgiverであること、これを全社員が意識して行動しています。以前参加させて頂いた夏祭りイベントも、社員それぞれに周りに楽しんでほしいと思うgiver精神があるからこそ、あれだけ活気の溢れたイベントになっていたんだと感じました。
社員同士でもgiverでない態度はお互いに指摘し合って、いつでもgiverでいるよう意識を芽生えさせているとのことです。

・自社のミッションを理解し、率先して行動・周りに呼びかけを行える人材

本田:募金活動は最初、社員の給料の1%を会社が負担して、社員の希望する団体に会社から寄付してました。募金をすることに対する意識付けのきっかけです。

佐藤:募金先から私宛に活動を称賛するレポートが来たんですけど、それを見ると個人的に継続してやっていこうと思えました。あとは会長から、コンビニの募金ボックスに釣銭を入れるだけでも誰かの役に立つという話をずっとして頂いていたので、募金やボランティアなども自分たちから意識的にやろうと思うようになりました。

Enjinのミッションは社会の役に立てる人材を輩出することです。
そういった人材に育つために、本田代表自ら呼びかけや、制度の導入を行っています。今回取材に応じて頂いた佐藤様も、ボランティアや募金に対して前向きであったり、社会に役立つためには…ということを常に考えているとお話頂き、会社のミッションをしっかりと理解し、行動に移している点が印象的でした。
企業によってミッションは様々ですが、社員それぞれがミッションをしっかりと理解し、率先して行動できる人材になれば、業務上でも行動力や統率力が発揮されるでしょう。

4.まとめ

今回は新卒の定着率が高い株式会社Enjinの取材を通して、新卒の定着率を上げる方法・企業で活躍できる人材を紹介しました。定着率をあげる為には、網羅的に環境を整えることが大切です。定着率が低くて悩んでいる方は、今回紹介したEnjinの取り組み内容を参考に、一度自社の取り組みを見直してみて下さい。