社長の熱量がダイレクトに伝わる「社内ラジオ」で社員の自発性を促す!【株式会社クレオフーガ】

コミュニケーション

ラジオは文面では伝えられない熱量を伝えることができるので、離れた社員に情報を届ける際の有効な手段です。
熱量が伝わることで、聞き手側に対して情報を共有するだけにとどまらず、想いや考えを伝えることができます。
また社内全体に情報を発信している姿は、社員の自発的な発言を促すきっかけを作ります。

情報を伝える方法としてチャットツールやテレビ会議などもありますが、今回は熱量が伝わるラジオだからこそ、社員の自発性を促すことに成功したクレオフーガさんに、ラジオ配信についてお聞きしました。
『社長がパーソナリティとなり、社員に毎日情報を届けるラジオ』を配信する社長の想いや、効果を明らかにしていきます。

リーダーが熱量を持ってありのままの情報を伝えるからこそ、部下の本音を引き出すことが出来ます。リーダーから積極的に想いや情報を発信し、部下が気兼ねなく発言できる環境をつくりましょう。

◇部下の自発的な発言を促すカギは『リーダーの発信力』
◇パーソナリティは社長!社内ラジオの取り組みとその効果を徹底解剖
◇まとめ

◇部下の自発的な発言を促すカギは『リーダーの発信力』

社内ラジオのメリットの一つとして、熱量をそのまま伝えることが出来ることがあげられます。
社員の自発性を促すには、『リーダーの発信力』が大切です。
2015年、グーグルがチームを成功に導くひとつに『心理的安全性』を発表しました。これはアメリカのGoogle社が2012年から約4年もの年月をかけて、生産性向上を目指したプロジェクト・アリストテレスを通して導いた答えです。

心理的安全性とは、社員一人一人が本来の自分をさらけ出し、気兼ねなく発言できる環境のことで、この環境をチーム内で醸成していくことが重要ということです。

この研究の中で、あるグループのリーダーが自ら患っている進行性の癌についてメンバーに打ち明けた事例があります。そこからチームのメンバー一人一人が自らのプライベートな事柄を語り始め、また、それが終わるころにはチーム内の生産性を高めるための議論へと移行していたそうです。
この結果から、部下が気兼ねなく自発的に発言できる環境(心理的安全性)を作るには、リーダーの発信力がカギとなることが分かります。

また、そういった環境をつくる方法のひとつとして、社内ラジオが有効的です。
社内ラジオのメリットは以下のものがあげられます。

・離れて働く社員にも情報を発信できる
・熱量を持って情報を伝達することが出来る
・社員が気楽に聞くことが出来る

 

今回は社内ラジオの聴収率9割、社長から全社員にラジオを配信しているクレオフーガさんに、取り組みや効果について詳しくお伺いしてきました。
社長がパーソナリティのラジオとはいかに…!

◇パーソナリティは社長!社内ラジオの取り組みとその効果を徹底解剖


今回取材させて頂いた、株式会社クレオフーガ代表取締役社長西尾様(写真中央)、広報宮﨑様(写真左)。赤とオレンジが目を引く鮮やかな壁の前でパシャリ。

会社名:株式会社クレオフーガ
事業内容:音楽ウェブサービスの開発
従業員数:20名
公式HP:https://creofuga.jp/

 

クレオフーガさんの社内ラジオは、平日5~10分ほどのラジオを収録・配信しています。西尾社長は仕事の話題を多く話されるようで、他社との打ち合わせ内容などをラジオで報告しています。
また、音楽著作権講座・業界講座も開設しており、社員の知識アップも図ってるんだとか!

最近では、営業社員の方が毎週木曜日に仕事の報告を行う『営業ラジオ』がレギュラー化。他にも岡山のメンバーが出張で東京に来た時は収録に参加したりと誰でもパーソナリティになれるそう!
放送ごとにラジオ内容・社員からの感想を見ることができるアーカイブもあり、ラジオ音源はいつでも聞けるので社員さんにも大好評です!

今回は実際にメインでパーソナリティを務めている西尾社長と、広報の宮﨑様に『社内ラジオ』を導入した経緯や想い、社員の方々の反応などを取材してきました!

 

『ラジオは熱量も伝わるので、社内のメンバーに対して伝えたい事、伝えるべきこと共有できるツールとしてすごく使えるなと感じました。』

ー社内ラジオと聞いた時は斬新な取り組みだと感じました。どなたの発案で社内ラジオは始まったのでしょうか。

西尾社長:岡山にいる社員が、他の会社で社内ラジオをやっているという情報を得て、自分たちもやりたいと言ってきてくれました。今岡山が本社なんですが、仕事の関係で私自身は東京にいることがほとんどなんです。
『社長忙しくしてるけど何しているのか分かりづらい』『東京オフィスの雰囲気が知りたい』という話が上がってきたので、解決策としてラジオがあがりました。あとは東京オフィスが移転する時だったので、その時に作った新しいスタジオで何か録音したいよねって話もありました。

 


オフィスの一角にあるスタジオではラジオ収録はもちろん、プロの演奏者がいらしてスタジオ内で演奏も行える本格的なスタジオです!

ー社内にスタジオなんてすごいですね!東京オフィスに社内ラジオ導入の話が入ってきたときは、満場一致で導入しようと決まったのでしょうか。

西尾社長:私自身正直言うと、最初は面白そう、でもめんどくさそうと思いました(笑)ただ、役員で話をして、手間はさておき効果はあるんじゃないかと。とりあえず1ヶ月間お試しでやってみようと意思決定をして、スタートしました。
話が上がった次の日には僕が一人で録音して配信したんですが、それには皆かなり喜んでくれました。

 


音楽好きの社員さんが多く、スタジオの機材等を試す一環としてラジオも楽しんで取り組んでいるのだそう。木のデスクが温かみのあるスタジオは、シンプルな作りで居心地もよさそうです。

ー社員の方々が楽しめているというのは、どんな取り組みにおいても大切なことですよね。元々一カ月間お試しでやるというお話でしたが、継続しようと決めたのはどうしてでしょうか。

西尾社長:私自身が楽しくなってきたのと、ラジオは自分の気持ちが伝えやすいと感じました。伝えたいことを議事録にまとめるのは時間もかかるし、熱量も伝わりづらくて難しいじゃないですか。ラジオだと5~10分話すと相当なボリュームがありますし、雰囲気も伝えられます。
社内のメンバーに対して伝えたい事、伝えるべきことを共有できるツールとしてすごく使えるなと感じました。1ヶ月経った時に全体ミーティングで社員に意見を聞いたら、続けてほしいという声が多くて続けていこうと思いました。」

 

『ラジオを始めてから、会社の方向性が見えやすくなったという話はよく聞きます。』

ー営業社員の方がレギュラーのラジオは、どういった経緯で始められたのですか。

西尾社長営業ラジオは本人がやりたいと言ってくれたので任せてます。ラジオの立ち位置として、社員の負担になるものにはしたくないので、パーソナリティを強制してないんですよ。ラジオそのものが楽しくなくなったら良くないと思っているので。
営業ラジオ以外でも、今後自主的にやりたいという人が出てきたらお願いしたいです。

 


パーソナリティは2人でやることもあるそうです。岡山オフィスに新しく入ったエンジニアが出張で東京に来た時には、ゲストに招き自己紹介ラジオが配信されました。全社員に自分のことを知ってもらえる機会があるのは嬉しいですね。

ーパーソナリティは義務ではないとのことですが、ラジオを聞くことは義務にしているのでしょうか。

西尾社長聞くことも義務ではないです。なので、ラジオを聞かなきゃ仕事に支障が出るのはいけないと思っていて、本当に大事なことはチャットや議事録ツールに残しています。ラジオは、チャットで伝えたことを深く理解できる付録的なイメージですね。著作権講座とかは知識を得たいと思っている社員に好評だったので、引き続きやっていこうと思ってます。

宮﨑さん:この前ラジオについてのアンケートをとったんですが、大体の人が聞いてましたね。「欠かさず聞いてる」人が7割、「聞いてない」人が1割くらいですね。たまに聞きそびれている人が、もうちょっといる感じです。

ー義務ではないのにほとんどの社員の方が聞いているとのことで、既に社内の文化として浸透しているんですね。社内ラジオに対して、社員の方々からはどういった声が上がっているのでしょうか。

西尾社長会社の方向性が見えやすくなったという話はよく聞きます。チャットワークや全体会議だとどうしても業務報告に近い形になるんですが、社内ラジオでは直近の仕事には絡んでないけど、中長期的にうちが目指すところを伝えることが出来ます。
こないだ香港に出張に行った時も、来年・再来年にはこういうことができたらいいと思っているという話をしました。

 


スタジオでは録音ブース内の映像を見ることができ、スタジオから収録ブース内に指示を出すことも出来ます。楽曲収録の時はもちろん、ラジオの収録の際も使用するんだとか!

 

『とある社員から、社長の弱音を聞きたいという要望がありました。』

ー社内ラジオの導入で得られた効果の中で、意外な効果はありましたか。

西尾社長とある社員から、社長の弱音を聞きたいという要望がありました。かっこつけなくていいので、悩んでいること・困っていることをたまに話してくれたら、お手伝いできるかもしれない、と。
社員からそういった発言が聞けるようになったのも、社内ラジオを始めたからこそですよね。そこからは良いことも悪いことも含めて、話をするようになりました。

ー他にも社員の発言がきっかけで、できたものはあるでしょうか。

西尾社長社内に部活動ができました。制度があるわけじゃないですけど、有志でなんちゃって部活をやっています。音楽制作部、カラオケ部、リアル脱出ゲーム部があります。音楽制作部は実際に楽曲を作る部活で、CDアルバムのリリースを目標にやっています。7,8人ほどいるんですけど謎に張り切っていて、気合いが入ってます(笑)

『社員のパーソナルな部分も知りたいからこそ、ゆっくり話が出来る場を作っています』

ー社内ラジオ以外にも、ランチ会や1on1面談を行っていると拝見しましたが、これはいつごろから取り組まれていらっしゃるんですか。

西尾社長1on1はラジオと同じタイミングですね。ランチ会は割と昔からやっています。新しいメンバーが入ってくるときには必ず行ったりしてますし、そういった機会を大事にしたいと思ってます。

ー入社日のランチ会は、新入社員が会社に打ち解ける良いきっかけづくりになりそうですね。

西尾社長そうですね。私たちもその人のことが知りたいけど、仕事で接するだけだとゆっくり話すこともできないじゃないですか。なので、ランチの場を利用して話すきっかけを作ってます。皆で行く場合もありますし、私がパートの方を誘って1対1で行くこともあります。

ー1on1面談はどのように行っているのでしょうか。

西尾社長人事系担当の役員か私が担当して、1人あたり1時間くらい時間をとって面談してます。皆がいる場だとパーソナルなことはなかなか言いづらいと思うんですが、1対1で会話をすると、本人がやりたいこと・何に悩んでいるのか本音も結構わかります。本音を引き出しつつ、じゃあそのために今月・今期何を目標にするのか希望を聞いて、会社のベクトルに合わせていきます。

ー社内ラジオだけでなく、ランチ会・1on1面談があるからこそ、社員が自発的に発言できる環境ができているんですね。他にも何か効果を感じてることはありますか。

西尾社長昔よりも私自身話し方が上手くなったと言われます。こないだラジオのゲストである番組に出演させて頂いたのですが、それを聞いていたメンバーたちに『社長話すの上手くなったね』と(笑)人に伝えるいい練習になっているんだなと感じます。」

宮﨑様「私も数回パーソナリティをしたんですが、自分の声を客観的に聞く機会なんてあんまりなかったので新鮮ですし、改善したい場所が分かります。社内ならまだ失敗しても大丈夫ですので、話すことに挑戦していこうと思っています。

ー話す練習としてもラジオは最適ですね(笑)今後は岡山オフィスからもラジオ発信して、東京・岡山と相互で出来ると面白いですね!

西尾社長そうですね。ラジオ用のアプリとかも作れればいいなと思ってます。」

宮﨑さん:社内ラジオの改善したいところで、もっと皆がラジオをあげやすいツールとか、工夫をしたいねって話になっています。社内ラジオのブースだけでなく、個人的にも録って流せるような仕組みづくりも検討したいです。

-西尾社長、宮﨑様ありがとうございました!

社長から情報を発信して社員に考えを伝えていくことで、社員が自発的に行動・発言がしやすい環境が作られていることが今回の取材を通して分かりました。
その結果として、社員自身が自主的にラジオを始めたり、共通の趣味の人を集めて部活動を作ったりと、社員の自発的な動きが促進されています。

社員が安心して気兼ねなく発言できる環境(心理的安全性)をつくるための上司の役割として、Googleで人材育成やリーダーシップ開発に携わっていたピョートル・フェリークス・グジバチさんは以下のように述べています。

「Googleにおける最高の上司」を一言で表すなら、部下が最大の成果を挙げるための場作りができる人。始めは部下は本音を話してくれないでしょう。ですから、まずは上司から「自己開示」を行うことが大切です。」
引用:https://mirai.doda.jp/series/interview/piotr-feliks-grzywacz/

クレオフーガさんは社内ラジオで『社長が自己開示をしている』からこそ、社員の方の『社長の力になりたい』という想い、そして発言が生まれたんですね。

このように、リーダー自身が自分の情報や考えをメンバーに伝えていくことで、メンバーはリーダーの人となりを知ることができ、結果的にメンバー自ら素直な想いを発することが出来るようになります。そういった環境ができていると、仕事上でも情報共有の徹底がなされ、仕事もスムーズに進めることが出来るようになるでしょう。

◇まとめ

今回は株式会社クレオフーガ様の社内ラジオの取り組みを通して、社員が安心して気兼ねなく発言できる環境を作る鍵はリーダーの発信力であることをお伝えしていきました。

部下が思うように意見を伝えてくれないとお悩みの方は、一度自分自身のコミュニケーションの取り方を振り返ってみてはいかがでしょうか。