個性が当たり前だからこそ理解したい、今の会社への“帰属意識”って何?

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近年、雇用体系の変化から、会社への帰属意識が低下しているといわれています。
個性を重視するのが当たり前となったことで、帰属意識はますます低下しているとされているのです。
そんな今だからこそ、『帰属意識』とは何なのかを正しく知っておくべきです。
社員の帰属意識の低下は、離職率の上昇につながる可能性があります。
そのため、会社という組織を強くするためには、帰属意識が必要なのです。
この記事では、帰属意識を正しく解説し、帰属意識の高め方を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1.帰属意識とは?
2.どうして今は帰属意識が低いのか
3.帰属意識が高いといわれる会社事例
4.帰属意識の育て方
5.まとめ

1.帰属意識とは?

まずは、帰属意識とは何かお教えいたします。
意外と帰属意識の意味を知らずに使っていることがあるため、帰属意識を高めることを考える前に一度、帰属意識について正しく理解することが大切です。

・帰属意識の意味と類語

帰属意識とは、「ある集団に自分が所属している」という意識のことです。
つまり、会社への帰属意識とは、「自分が会社に所属している」という意識のことを指しています。
帰属意識の類語には、「仲間意識」「所属意識」「共属意識」などが挙げられます。
また、帰属意識は集団への「愛着」「思い」と言い換えることも可能です。
つまり「帰属意識を高めたい」とは、社員の会社への愛着や思いを高めたいという気持ちがあるということなのです。

・帰属意識が高いメリット

<会社への愛着・思いを高める>
会社への「愛着」や「思い」を高めることがメリットとして挙げられます。
これにより、社員は会社に「貢献したい」と考えるようになり、モチベーションにつながります。
その結果、業績アップへとつなげることができるのです。

<忠誠心が高くなる>
社員の忠誠心が高くなることもメリットのひとつです。
忠誠心が高くなることによって、社員の定着率を高めることにつながります。
その結果、人材確保や安定した組織の作ることができるのです。

・帰属意識が低いデメリット

<離職率が高まる危険性>
デメリットとして、社員の離職率が高まる危険があります。
帰属意識の低下は、会社への「愛着」「思い」が薄くなってしまいます。
その結果、給料を上げるなど、待遇への施策でしか社員をつなぎとめることができなくなり、社員の離職率が高まる危険があるのです。

<モチベーション低下>
モチベーションの低下もデメリットのひとつです。
会社への「愛着」「思い」が薄くなることは、業務へのモチベーションの低下にもつながります。
モチベーションが低下すれば、ハイパフォーマンスを発揮するのは難しく、デメリットとなってしまいます。

2.どうして今は帰属意識が低いのか

会社への帰属意識は、近年低下傾向にあるとされています。
少し古いデータですが、「平成19年度国民生活白書」のデータ(下記図)から帰属意識が低下していることがわかります。
1995年から2000年の間ですら、帰属意識が「もともとない」「薄れた」の割合が、37.8%から55.9%へと増えているのです。
帰属意識を高めるためには、なぜ帰属意識が低下していっているのか知るべきです。


(引用:平成19年度国民生活白書 http://ur0.work/Megd

・リモートワークやフレックスタイムの普及
会社への帰属意識が低くなった理由としては、勤務形態の変化が挙げられます。
リモートワークやフレックスタイムを導入する会社が多くなったことで、1人で仕事ができるようになったり、職場に来ないで仕事ができるようになったりしました。
これらの環境が整うことによって、社員同士のつながりが薄くなり、これが会社への帰属意識の低下につながっているのです。

・終身雇用の崩壊
終身雇用が崩壊したことも、会社への帰属意識の低下理由のひとつです。
かつて日本は終身雇用を採用しており、新卒で入社後は定年までその会社に勤めるのが一般的でした。
終身雇用の世の中では、他社に気軽に転職することができないため、その会社での居場所作りが重要になり、結果として「1つのコミュニティに入れ込む」=「帰属意識が育ちやすく」なっていたのです。

しかし、会社が終身雇用を続けるためには、継続した業績拡大が必要です。
業績拡大の継続ができなければ雇い続けるのは難しく、終身雇用を続けることは不可能となってしまいます。
日本ではバブルが崩壊し、会社の業績拡大を継続させるのは困難な経済環境となりました。
その結果、終身雇用が崩壊することになり、帰属意識の低下へとつながっていったのです。

・処世術としての帰属意識が不要に…
終身雇用の社会において、帰属意識は一種の処世術となっていました。
定年まで会社に勤務するという意識が高いため、会社での人間関係が重要でした。
社内の人間関係を円滑に進めるためには、帰属意識を持つことが手っ取り早かったのです。
そのため、当時は処世術として帰属意識を高めていた社員もいたのです。
しかし、終身雇用の崩壊により、転職が容易になりました。
それにより、1つの会社に固執する理由がなくなり、以前ほど社内の人間関係を重視する必要がなくなったのです。
その結果、処世術としての帰属意識が不要となり、帰属意識の低下につながっていったのです。

3.帰属意識が高いといわれる会社事例

帰属意識を高める参考になる、会社事例を紹介していきます。
ここでは、社員のことを考えている取り組みで有名な会社を取り上げています。

・株式会社サイバーエージェント“企業文化の浸透”

(参考:https://gozal.cc/basics/personnel-system-labor-contract/making-culture-in-cyberagent
(参考:https://industry-co-creation.com/special/8744
インターネット広告事業を中心とした企業であるサイバーエージェントの帰属意識が高い理由としては、「企業文化の浸透」が挙げられます。
サイバーエージェントは、企業文化の浸透のため、カルチャー推進室という部署を設立したのです。
カルチャー推進室は、社内報「CyBAR」と社史「ヒストリエ」の運営を行っています。
社内報では、社員のインタビューや社内でのイベントや取り組みなどを取材し、記事として配信しています。
社史は社内の成功談や失敗談を取材し、リアルケーススタディを紹介しているのです。
リアルケーススタディを社内で共有することで、帰属意識の向上に役立っているのです。
また、取材を受けて紹介されたメンバーのロイヤルティー(忠誠心)アップにもつながっています。
失敗したことでも注目されることで、結果こそ出なかったものの「讃えられる」ことになり、ロイヤルティーアップにもつながっているのです。

・株式会社アースホールディングス“独立支援制度”

(参考:http://recruit-earth.jp/independence.html
美容業や美容経営に関するコンサルタント業などを行なっているアースホールディングスの帰属意識が高い理由としては、独立支援制度が挙げられます。
将来的に独立し、美容室の経営を目指すスタイリストを対象とした独立支援制度「ドリーム7ステップパートナーシップ」が設けられているのです。
この制度を利用することによって、7つのステップアップを経由するで、フランチャイズによる出店をすることができます。
この独立支援制度があることにより、将来的に独立したい社員も帰属意識を高めることができるのです。
なぜなら、この企業の取り組みには個人レベルまで落としています。
個人の「独立したい」という思いに沿い、制度を整えることによって、社員の帰属意識向上につなげているのです。

・株式会社ディー・エヌ・エー“DeNA Quality”

(参考:http://dena.com/jp/company/policy/
(参考:https://www.teamspirit.co.jp/workforcesuccess/diversity/dena02.html
ソーシャルゲームや球団経営など様々な事業展開をしているディー・エヌ・エーの帰属意識が高い理由としては、「DeNA Quality」によるものです。
DeNA Qualityとは、ディー・エヌ・エーで働くうえのスタンスとされています。
そして、ディー・エヌ・エーでは新入社員に向けて、社員がDeNA Qualityの本質を感じた瞬間を具体的なエピソードを交えながら話すセッションを定期的に開催しています。
これにより、ディー・エヌ・エーのスタンスを共有することができ、帰属意識の向上につながっているのです。

・スターバックスコーヒージャパン株式会社“行動指針”

(参考:https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2002-251.php
コーヒーストアの経営やコーヒー関連の商品販売を行なっているスターバックスコーヒーの帰属意識が高い理由は、スターバックスコーヒーの以下の行動指針からわかります。

「お互いに尊厳と威厳をもって接し、働きやすい環境をつくる」
「事業運営上での不可欠な要素として多様性を受け入れる」
「コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級レベルを目指す」
「地域社会や環境保護に積極的に貢献する」
「将来の繁栄には利益性が不可欠であることを認識する」
(引用:https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2002-251.php

この行動指針から、スターバックスコーヒーでは多様性を受け入れ、働きやすい環境を提供していることがわかります。
社員個人個人への配慮を行動指針にすることで、個人レベルに落としているのです。
それにより、働きやすい環境を整えることができ、社員の帰属意識を高めることに成功しているのです。

4.帰属意識の育て方

社員の帰属意識は、会社の行いによって育てることができます。
福利厚生の制度を充実させたり、社内報を作ったりすることで、帰属意識を高めることができるのです。
福利厚生の充実で社員は働きやすい環境を手に入れ、社内報によって情報の共有ができます。
これは、帰属意識の向上につながっているのです。
ここでは、社員の帰属意識の育て方について解説していきます。

・インナーブランディング

インナーブランディングとは、企業がブランドの価値や理念、ビジョンを社員に浸透させるために行う啓蒙活動のことです。
企業にとってインナーブランディングはとても重要です。
インナーブランディングを行うことにより、社員は自社のことを理解することができます。
そして、社員が同じビジョンを持って、業務にあたることができるのです。
企業のビジョンに社員が共感すれば、働きがいの向上や帰属意識を育てることになるのです。
具体的なインナーブランディングの方法としては、研修や社内向けのサイト運営、社内報や社内ワークショップなどが挙げられます。
インナーブランディングにより、社員の帰属意識を育て、モチベーションを高めてください。

<事例・ディズニーリゾート>
(参考:https://www.castingline.net/disney_education/disney.html
インナーブランディングを徹底している会社として、ディズニーリゾートが有名です。
質の高い接客を誇るディズニーリゾートは、「夢の国」というイメージを壊さないように徹底されたインナーブランディングがされています。
ディズニーリゾートのインナーブランディングの一環が、「ディズニー教育プログラム」です。
これは、ディズニーならではの教育プログラムであり、キャストに必要な知識・スキル・マインドなどを学びます。
この教育により、自社のビジョンを理解させており、質の高い接客につなげているのです。

<事例・ma cherie(マ・シェリ)>
(参考:http://www.fullthrottle.co.jp/portfolio/macherie/
ウエディングブランドのマ・シェリは、社長交代に伴いインナーブランディング行っています。
マ・シェリでは、社長交代のタイミングで、全社員に経営計画の発信とブランドブックを開発したのです。
ブランドブックは、絵本のような形式となっており、理解しやすい内容となっています。
そして、このブランドブックを読むことで、ブランドの理念を理解することができるのです。
ブランドブックを開発・配布することで、社員にブランドの理念を浸透させることに成功したのです。

・社内コミュニケーションの場の提供

社員の帰属意識を育てるためには、社員同士のコミュニケーションが役立ちます。
とは言え、終身雇用の時代のような、強制的なコミュニケーション手法では逆効果となります。
自然に社員同士がコミュニケーションを取ることができるような場を提供することで、社員の帰属意識を高めることになるのです。
具体的な方法としては、社員食堂の設置やフリーアドレスなどが挙げられます。
社員食堂を設置することにより、社内に、社員みんなが集まりやすいスポットができます。
普段話さない別の部署の人や先輩後輩、時には外部の人とさえ、コミュニケーションを取るチャンスが生まれ、かつ気持ちも開放的になる休憩時間を共有することで、新しいアイディアや出会いにつながるかもしれません。
このように、社員同士のコミュニケーションを深める場を作ることが、帰属意識を高めることにつながるのです。

・『エンゲージメント』『アイカンパニー』が大切!

今の時代に、会社が社員に帰属意識を求めるなら、個人レベルに落とす必要があります。
そこで知っておきたいワードが、『エンゲージメント』『アイカンパニー』です。
それぞれのワードについて理解することが、社員の帰属意識を高めることにつながります。

①エンゲージメント
エンゲージメントとは、会社に対する社員の『愛着心』や『思い入れ』と解釈されるケースもありますが、それだけでなく「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことを指しています。
つまり、エンゲージメントは会社と社員個人を結びつける絆と捉えることができるのです。
エンゲージメントの考え方の中には、帰属意識も含まれています。
エンゲージメントは、「帰属意識」「企業の方向性に対する理解」「行動意欲」の3つの要素で構成されており、これらを高めることで理解し成長しあうとされているのです。

②アイカンパニー
アイカンパニーとは、「自分自身のことを『株式会社 自分』として捉える」という考え方のことです。
この考え方では、社員も自分のことを株式会社の経営者と捉えます。
そして、アイカンパニーという視点で考えれば、現在勤めている会社は、あくまでアイカンパニーの主要市場ということになります。
そのため、主要市場が合わないなら、市場から撤退して転職するという選択もあるのです。
会社が社員に帰属意識を求めるのなら、社員個人のアイカンパニーの視点から、残りたい市場だと思わせることがポイントなのです。

・帰属意識を芽生えさせる取り組み事例

<サイコロ給制度>
(参考:https://www.kayac.com/company/institution
株式会社カヤックが行なっているサイコロ給制度は、帰属意識を芽生えさせる取り組みとなっています。
同社の報酬は、「社員の相互評価」「上司の評価」そして「運」によって決まります。
運の要素として、サイコロ給制度があるのです。
サイコロ給制度では、全社員が給料日前にサイコロを振ります。
そして、「基本給×(サイコロの出目)%」が給与にプラスされるのです。
人が人を完璧に公平に評価するのは難しく、天に任せるという思いで作られた制度となっています。
このように、面白い取り組みを行うことによって、社員の帰属意識を芽生えさせることができるのです。

5.まとめ

帰属意識について理解することはできたでしょうか?
終身雇用が当たり前だった時代では、帰属意識は自然と高まるものであり、帰属意識を持つことが個人の処世術となっていました。