【タレントマネジメント】最高の人事配置を実現!有名企業に学ぶ活用方法を徹底解説

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企業にとって、社内の人材をどのように生かしていくかは重要な課題のひとつです。特にある程度以上の事業規模で社員数が増加し、より効果的な人事体制が求められている場合は、社員が持つスキルや能力を正しく把握し、最大限に活用することが求められます。

こうした人材管理をめざす方法として最近注目されているのが、「タレントマネジメント」という考え方です。企業の人事部にとっては、適切な人事配置ができる方法として、内容の理解と実践方法が気になるところでしょう。

この記事では、タレントマネジメントの定義を解説した上で、タレントマネジメントのやり方やツール、国内企業での導入成功事例などを紹介していきます。

1.タレントマネジメントとは
 1-1.タレントマネジメントの意味
 1-2.海外の事例と市場規模
2.タレントマネジメントのやり方
3.タレントマネジメントに必要なツール
4.国内企業に学ぶ、成功するタレントマネジメント
5.まとめ

1.タレントマネジメントとは

社内の人材を有効に生かす人材管理の方法として注目されているタレントマネジメント。まずはタレントマネジメントの意味をつかんだ上で、海外の事例と市場規模について見てみましょう。

1-1.タレントマネジメントの意味

まず、タレントマネジメントの定義と目的について見ていきましょう。

タレントマネジメントとは、タレント、つまり社内にいる優秀な人材がどういった才能やスキル・素質を持っているのかを把握し、それを最大限に活用するために人材の配置や教育などを企業全体として戦略的に考えていくしくみづくり のことをさします。企業としての目標達成のために必要と思われる人材の採用に始まって、育成や配置、評価、社員一人一人のモチベーション管理などを行うものです。

タレントマネジメントの目的は主に3つです。

・効果的な人材戦略

人材が持っている才能やスキル・素質を最大限に生かすには、適切なポジションに人材を配置する必要があります。各人材の才能やスキルを見える化することで、根拠のある説得力の高い人材配置が可能になります。

・確実な人材育成

優秀な人材の定着は事業成長に直結する課題です。人材が他社に流出しないようにするには、今後どういった分野でどのように活躍すれば最大のパフォーマンスを獲得できるのかを考え、人材育成を進めることが求められます。人材それぞれのキャリアデザインを設計し、才能やスキル・素質を把握することで、より確実に育成を進め、次世代のリーダーを増やすことができます。

・経営目標達成のための組織づくり

もともと持っている才能やスキルの価値を見出し、高めながら適切に人材配置を行うことは、本人だけでなく企業にも大きな利益を与えます。人材の価値を最大限に生かすしくみを確立することで、最終的には企業全体の利益を上げたり事業規模を拡大するという目標を達成するために、対応できる組織を構築する狙いがあります。

1-2.海外の事例と市場規模

タレントマネジメントとは、優秀な人材の流動性が高いアメリカで考案されました。企業への人材定着や人材育成といった人材開発において、効果的な手法とされています。

アメリカでタレントマネジメントの概念が生まれた1990年代、日本はまだ終身雇用制度が根強く定着していました。新卒で入社した企業に定年まで勤め上げるという働き方が一般的で、人材が他社に流出することはほとんどなかったため、タレントマネジメントの手法は必要とされていませんでした。

しかし時が流れ、経済状況の変化にともなって労働環境も変化し、人々の価値観は多様化して終身雇用制が崩壊しはじめました。労働力の流動化が激しくなったことから、人材をじっくり育成することが難しくなり、企業は従来の方法のまま優秀な人材を確保し続けることが難しくなっています。
こうした変化によって、日本でも最近タレントマネジメントへの関心が高まっていると言えるでしょう。

2.タレントマネジメントのやり方

企業の経営目標達成や事業拡大のための有効な人材活用方法とされているタレントマネジメント。しかし実際には、社員の能力を最大限に生かせる人事配置をしたくてもどのように進めたらいいのか分からない、そんな声が多いのも事実です。
実際にタレントマネジメントが効果的に機能するためのポイントを見ていきましょう。

・タレントマネジメントを実行する体制を作る

全社を挙げてタレントマネジメントを行うために、専任で携わる体制を構築します。
代表者を筆頭に、タレントマネジメントの専任者や各事業部の責任者、人事部の専任担当者などで編成します。

・経営計画の目標を確認する

中長期的な経営計画において掲げられている目標を再度確認します。
たとえば「新商品の開発数を増やして市場シェア率を上げる」「既存顧客のニーズを把握してリピート受注を増やす」など、3~5年計画で実行する予定の目標を確認し、共有することが大切です。

・後継人材育成の体制を整える

経営目標を踏まえて、各事業部の人材育成状況を見える化します。次世代のリーダー候補の選抜基準が明確か、所属社員の能力が発揮できる状況を確保できているかなどをチェックし、社内全体のパイプラインを強化します。

・目標達成に必要なタレントを洗いだす

目標達成のために実行する項目を整理し、必要な知識や経験・スキル・仕事への姿勢などを持った社員像を定義します。その社員像をもとに、社員の才能やスキル・素質などを人事評価結果やインタビューなどから特定していきます。

・キャリアパスを明示して労働環境を整える

全社員に対して、各役割に求められる知識や能力、資格、すでにその役割を担っている社員のプロファイルを明示して、社員各自がチャレンジしたい役割に対するセルフチェックができる状況をつくります。と同時に、社内公募やFA制度など社員がキャリアアップできる制度を導入し、チャレンジする機会を提供します。

・情報システムのインフラ整備を行う

人事業務の効率化を目的として、社員それぞれの人事評価データをストックし、タレントマネジメントにおける人事上の意思決定において柔軟に活用できるデータベースを整えます。

・事業戦略と人事戦略をリンクさせる

事業戦略と連動してタレントマネジメントにおける指標を設定します。経営陣がその推進状況を正確に把握して、人事配置の意思決定がスムーズに行えるサポートをします。

タレントマネジメントというと社員の人事的評価と配置につい注目してしまいがちですが、効果的なタレントマネジメントを行うには、まず社員の持つ才能やスキル・素質を把握するという段階にもしっかり注力することが非常に重要です。

3.タレントマネジメントに必要なツール

タレントマネジメントの進め方の概要がつかめたところで、実際に実践するとなると労力や時間がかかります。できるだけ適切に、また自社に合った方法で活用できるツールがあれば導入を検討しましょう。
ここからは、タレントマネジメントを実践する際に導入したいおすすめのツールを紹介していきます。

・HITO-Talent(パーソル総合研究所)

https://rc.persol-group.co.jp/hito-talent/

高度なセキュリティシステムでありながら柔軟性に富んだデータベースシステムにより、社内の人材情報を可視化してより実務的な人事配置をサポートするツールです。個人プロフィールなどで適材を発掘し、組織図で適正な配置が可能です。優秀人材のリテンションや計画的な教育・評価まで一貫して行うことが出来るツールで、人事部門と共同開発しているため現場で使える機能が搭載されており、直感的な操作で日々すばやく運用できます。

料金:都度問い合わせ

・SKILL NOTE(株式会社イノービア)

https://www.skillnote.jp/

社員の業務スキルや教育履歴、資格、業務経験などの情報を一元管理できるスキル管理ツールです。社内の人材情報を可視化することで、次世代リーダー育成をはじめとした人材教育やキャリアパスの構築材料を把握し、効果的な人事配置につなげられます。職種や事業所・部門ごとに社員それぞれの成長ステップや現在の到達レベルを明示できるステップアップシートにより、本人のキャリアプランが計画しやすくなっています。

料金:事業所規模により異なる(300名規模で月135,000円)

・Geppo(株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー)

https://www.geppo.jp/

社員のコンディションの変化を迅速に吸い上げられるよう、毎月の定点観測をUIとアラート機能により把握することができるツールです。全国就業実態調査の結果から退職や休職の要因を導き出し、多くの人事課題を網羅した設問設計により、たった3つの質問で社員の本音を吸い上げます。社員への回答促進から回答の読み込み、レポート作成までを行うため、通常業務への圧迫が少ないのも特徴です。

料金:社員25名まで20,000円~300名まで148,000円(月額)

・TUNAG(株式会社スタメン)

https://tunag.jp/ja/

組織戦略の立案をはじめ、経営課題に合わせた制度設計や社内制度の確認、社内への影響、申請や報告、承認などを一元管理できるツールです。利用頻度の可視化によって制度の問題点を洗い出し、改廃やテコ入れといった具体的な対策が効果的に実施できます。社員にとっては、他の社員の制度利用状況を知って心理的な活用ハードルが下がり、制度利用のきっかけになると同時に、オフコミュニケーションの場を獲得しやすくなります。

料金:都度問い合わせ。

・Oracle HCM Cloud(日本オラクル株式会社)

https://www.oracle.com/jp/applications/human-capital-management/

ビッグデータを活用して業績や人事課題の予測、社員同士のコミュニケーション強化、ナレッジ共有などができるツールです。人材獲得および社員の学習状況、パフォーマンスを管理して有効な人材の採用や育成に活用できます。勤務管理、休暇管理および経費管理などの労務管理機能も搭載。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからも管理活用できます。

料金:都度問い合わせ

・カオナビ(株式会社カオナビ)

https://www.kaonavi.jp/

全社員を顔写真で管理する人材管理ツールです。経営陣から一般社員まで画面で顔写真管理できるため、人事部だけでなく一般の管理職も直感的に操作可能です。人材のデータベースはもちろん、スキルや適性を可視化して人事シミュレーションを行う人事戦略や人事評価も自在にできます。タレントマネジメント

料金;人材データベース 39,800円/~(月額)

4.国内企業に学ぶ、成功するタレントマネジメント

国内企業にも導入されるケースが増えてきたタレントマネジメント。実際に導入した企業では、どのような取り組みをしてどのような成果を得たのでしょうか。
タレントマネジメントを導入した国内企業の3つの成功事例を紹介していきます。

【例1】大和証券グループ

全社員を対象に、2005年から自発的なキャリア開発を促進させるためにタレントマネジメントを導入している大和証券グループ本社。資格の取得や各種研修の受講によってポイントを獲得できる制度を設け、ポイント数を昇格必要要件とするなど人事評価報酬制度と連動させています。

導入当時は社員からの反発が大きかったものの、将来的なマーケット展開を考えて習得すべき知識やスキルの拡充が必須という判断によるものでした。

再雇用制度の社会的な広がりを見据えてスタートしたライセンス認定制度は、60歳以降の再雇用が優遇されることやeラーニングも取り入れ、150名近い社員がライセンス認定されるなど、社員のキャリア意識や学習への意欲が確実に高まってきています。

【例2】日産自動車

カルロス・ゴーン氏が社長に就任してからタレントマネジメントに注目した日産自動車は、2011年に次世代を担う優秀なリーダーを発掘し育成するための専門部署、グローバルタレントマネジメント部」を創設しました。

キャリアコーチが各部署から選抜したリーダー候補を経営陣が審査し、承認された人材をジョブローテーションなどのプログラムで育成していきます。このシステムの背景には、部署内だけにとどまらず、企業全体の発展に貢献してもらうための人材として育成していこうという考え方がベースとなっています。

【例3】サイバーエージェント

約4000人の社員を抱え、多岐にわたる事業を展開しているサイバーエージェント。
「他の部署の業務内容や人員ニーズの状況が分かりにくい」という社員の声を受けて、キャリバーというシステムを使ってさまざまな部署の環境や業務内容、求めている人材の情報を社内公開しています。

他部署の業務内容や人材ニーズを知った社員がキャリアチェンジの検討をしやすくなり、キャリチャレという社内異動公募制度を活用して自身のスキルをより活用しやすい環境整備を進めています。

また、トップ人事の可視化や産休・育休から復帰した女性社員の人事配置など、全社を挙げて企業としての成長につながる取り組みを行っています。

5.まとめ

タレントマネジメントは日本ではまだ歴史が浅い考え方ではあります。しかし、終身雇用制が崩壊し、人々の労働環境や条件に対する価値観がひとつではなくなった現代では、単に人材を確保するだけでは生産力の維持や向上を望むのが難しくなってきています。

少子高齢化による人材の数そのものの減少という事態もあわせて見据えると、企業自体が人材を育成し、人材の持つ才能やスキル・素質を最大限活用する経営システムへと進化していかなければならないでしょう。

そのための考え方がタレントマネジメントです。
社内の人材ひとりひとりが成長し、より高いパフォーマンスを行える環境をつくることで、企業全体も強くなり長期的に成長していく可能性は十分にあります。
この記事を参考に、自社の改善課題を掘り下げ、目的に合わせてタレントマネジメントを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。